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謹んで新年のお慶びを申し上げます。
旧年中は一方ならぬご愛顧を賜り、厚くお礼申し上げます。
昨年を振り返りますと、日本経済は名目賃金が上がらないことや設備投資が増えないことなどを背景に、2015年4~6月期の実質GDP成長率は失速しましたが、7~9月期は改定値で2四半期ぶりのプラス成長に転換し、過度な悲観論は後退しました。株式市場について、日経平均は年初やや下落しましたものの、良好な企業業績を背景に、その後は順調に上がり続け、4月に約15年ぶりに終値で2万円台を回復しました。ところが、8月の人民元切り下げによる中国の景気減速懸念をきっかけに世界経済の先行き不安が台頭し、株価が調整しました。10月以降はマーケットが、先進国は新興国の景気減速の影響を受けないと見たことから、日本をはじめとした先進国株は戻り基調を辿り、12月には再び日経平均2万円台を付けました。
今年は、米欧の先進国だけで成長が可能と考えられ、域内経済により勢いを取り戻すとみられます。先進国が成長することで、新興国にプラスの影響を与えることが期待されます。2008年9月のリーマン・ショックを境に、新興国の経済成長率は低下傾向にあるものの、リーマン・ショックのように急激に世界景気が悪化する可能性は低いと予想されます。
中国は景気減速が続くとみられ、労働力人口の減少や労働生産性の伸び悩み、農村部から都市部への労働力移転の一巡、過剰供給などから、潜在成長率の低下が予想されます。ただ、中国は投資と輸出を通じた成長に限界を感じて、産業構造を持続可能な消費主導型の成長モデルに転換しています。また、一部で固定資産投資も始めているほか、今後の景気の新しい牽引役として「新シルクロード構想(一帯一路)」への期待などがあることから、中国経済のハードランディングの可能性は低いと見込まれます。中国株に関しては上値の重い展開が予想されますが、家計部門の金融資産に占める株式の割合は小さく、株安による景気下押し効果は限定的と見込まれます。なお、中国の景気減速による米国経済全体への影響は軽微だと見込まれます。米国の中国向け輸出は、GDP比で1%程度に過ぎず、貿易を通じた米国経済への直接的な下押し圧力は限定的だと考えられるからです。
米国は雇用情勢の改善や所得の拡大などを背景に、緩やかな景気拡大が長期化すると見込まれます。金融引き締めを受けた金利上昇やドル高が成長ペースを抑制する要因となりますが、利上げは慎重なペースで実施される見通しであるほか、個人消費や住宅投資、設備投資の拡大などを背景に安定成長が持続すると予想されます。また、11月には大統領選挙が予定されており、アノマリーとして大統領選挙の年は景気が良くなり、株価は堅調で、ドル高になる傾向があります。
欧州は堅調な個人消費に支えられ、米国に次いで緩やかながら着実に景気回復力が強まるとみられます。背景には、失業率が低下傾向にあることや政府支出が増加していること、銀行の融資基準が緩和方向にあることなどがあります。ただし、ドイツは自動車産業の存在が大きいことから、ワーゲン問題が経済に悪影響を与える懸念があります。難民問題による欧州への影響については、財政支出増が見込まれる一方、移民増加による賃金低下でデフレ圧力がかかる懸念があります。欧州株は量的緩和継続が予想されるなか、流動性相場が続きそうです。
日本経済はインバウンド消費が景気を下支えするほか、今年最大の政治イベントである7 月の参院選に向けた景気対策が期待されます。日本株に関しては過剰流動性相場が続くなか、米株に比べて割安感があり、堅調に推移すると予想されます。日本株に対する支援材料は企業の動きの変化で、ROEの目標を設定する企業が増えてきたことや企業の目標配当性向が緩やかに上昇している点です。為替面から見ると、ドル高・円安であれば米国で活躍する国際優良株、円高ならば内需株が優位になると想定されます。ただ、今期の企業業績は2 桁増益予想ですが、来期(2016年度)は1 桁増益になる可能性があり、銘柄選択が必要になるとみられます。そのほか、今年はジュニアNISA開始の年で、1月から口座開設が始まり、4月から実際の取引がスタートします。さらに、NISAの年間無税投資枠が今年より100万から120万円に拡大されました。これは高齢者に偏る金融資産を若年層にシフトする政策目標があるためとみられます。
外貨に強い安藤証券を目指し、株式にとどまらず外国債券・外貨建てMMF等、さらに日本株・欧州株・米国株関連の投資信託など、お客様のご要望にお応えできる商品のご提供に努めてまいりますので、本年も何卒一層のご支援、ご愛顧を賜りますようお願い申し上げます。
安藤証券株式会社
代表取締役社長 安藤敏行
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