GLOBAL&TREND

既に始まっている 2024アメリカ大統領選挙

2023年8月21日掲載

世界はどう動くのか?「バイデンリスク」も

アメリカの次の大統領選挙が来年「2024年11月5日」に行われます。

まだ1年以上先のことと思ってしまいますが、世界の将来がかかると言っても過言ではない「ビッグイベント」は、すでに始まっています。

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この春から、民主党、共和党とも立候補の表明が始まり(トランプ氏のみ昨年11月に表明)、各陣営は、両党の大統領・副大統領候補を決定する年明けからの「予備選挙」に向けて動き始めました。

2024年に入ると早々に「アーリー・ステーツ」と呼ばれる4つの州(アイオワ州・ニューハンプシャー州・ネバダ州・サウスカロライナ州)で予備選挙が始まり、

この予備選挙と党員集会で、候補者が各州の「代議員(州代表の党員)」の獲得競争を繰り広げます。

なかでも3月の第2火曜日(2024年は3月5日)の「スーパーチューズデー」は有名で、10州以上の予備選挙がこの日に集中、代議員の約3分の1が決まる重要な1日となります。

早ければ4月にも両党の勝者が明らかになり、夏に行われる「全国党大会」にて正式に大統領候補と副大統領候補が決まり、決戦の「11月5日大統領選」に至ります。

現在の立候補者

〇民主党

現職のジョー・バイデン大統領が4月25日に正式に立候補を表明

・ロバート・F ・ ケネディ・ジュニア氏(弁護士)

・マリアンヌ・ウィリアムソン氏(作家)

〇共和党

・ドナルド・トランプ前大統領

・ニッキー・ヘイリー元国連大使

・エイサ・ハッチンソン前アーカンソー州知事

・ティム・スコット連邦上院議員(サウスカロライナ州)

・ロン・デサンティス・フロリダ州知事

・クリス・クリスティ前ニュージャージー州知事

・ダグラス・バーガム・ノースダコタ州知事

・マイク・ペンス前副大統領

・フランシス・スアレス・マイアミ市長

・ウィリアム・ハード元連邦下院議員(テキサス州)

心配される「バイデンリスク」

早いですが、現時点で民主党は「バイデン現大統領以外はない」と言われています。

しかしバイデン氏は現在80歳。現職大統領として史上最高齢。1942年11月20日生まれなので、来年の11月に再選されればすぐに82歳の誕生日を迎えることになります。次の任期の終盤には85歳になります。

万が一、バイデン氏に健康不安の問題が出てくれば、現在の情勢は一気に変わると考えられます。バイデン現大統領が立候補を取りやめる「バイデンリスク」のシナリオも考えておかなければならないでしょう。

現状、民主党の立候補者はバイデン氏以外に、ロバート・F ・ ケネディ・ジュニア氏がいますが、名門ケネディ家が立候補に強く反対をしているとのことです。

もしバイデン氏が下りた場合、民主党は共和党に勝てる候補を立てるのは厳しく、大きな政策転換が行われる可能性がとても高くなります。

この3年間、バイデン大統領は外交面で「強いアメリカ」の姿勢を保ち、特にロシア、中国と対峙してきました。ロシアのウクライナ侵攻を徹底して非難、ウクライナへの積極支援を続け、NATOの結束を高めてロシアとの対決姿勢を崩さず、また中国への対抗の手も緩めず、プーチン、習近平とパワーゲームを展開しています。

もし共和党が政権を奪った場合、ウクライナ問題への対応に変化が生じる可能性があります。共和党内には、見通しが見えてこないウクライナへの軍事支援を批判する議員が多く、アメリカは、軍事支援から早期の停戦合意へと対ウクライナ戦略の軌道修正を求められる可能性があります。

またバイデン氏が進める「カーボンニュートラル」政策はどうなるのか。

「バイデノミクス」も、「小さな政府」を目指す共和党が政権を取れば、減税や大企業への優遇などへ、大きな変化が待っているのは間違いありません。

★バイデノミクス

中間層の拡大と低所得層の底上げにより経済を成長させる政策

大企業、富裕層を重視、その波及効果により全体が潤う=「トリクルダウン政策」を否定し中間層を重視。

アメリカの2大政党の特徴

〇民主党(Democratic Party)

・リベラル(自由主義)

・社会福祉は政府の義務「大きな政府」

・主な支持者:労働者、中間層、低所得層

〇共和党(Republican Party)

・保守

・マーケット重視、政府の介入は少なく「小さな政府」

・主な支持者:経営層、富裕層、キリスト教信者

アメリカ第一主義が復活する?

もちろん共和党の候補がトランプ氏になるか?も、大きな注目です。

再度、アメリカ第一主義が復活し保護政策に戻るのか?

昨年11月の中間選挙では共和党が勝つと見られていましたが苦戦となり、その不振の原因がトランプ氏だとの見方が強まりました。

共和党内ではトランプ氏以外の候補者を擁立する動きが現れ、フロリダ州知事選で圧倒的に再選されたデサンティス知事が有力候補として浮上しました。

現在は圧倒的にトランプ氏が優勢のようですが、トランプ氏は前回選挙後の議会乱入事件や機密文書持ち出し事件など4件の起訴をされており、今後公開討論会などを重ねるとデサンティス知事との差が縮まる可能性も十分にあるようです。

このように、多くの不確定要素により、様々な可能性が存在しています。結果により日本も包まれた「世界の枠組み・世界経済」に大きな影響を与えます。

アメリカの大統領選挙は「来年、まだまだ先」ではなく、もうすでに始まっており、私たちも、「注視」まではいかないまでも「視野」に入れておく必要があるでしょう。

この大統領選挙の行方を世界で最も注視しているのは、プーチンと習近平、次に金正恩かもしれません。

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