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「大阪・関西万博」未来の夢がまた始まる
2023年6月26日掲載
高度経済成長期の真っただ中に行われた1970年の「大阪万博(Expo70)」。この時期、日本は「万博」一色となりその話題でもちきりとなりました。
日本で最初の「日本万国博覧会」は1970年3月15日から9月13日までの183日間、大阪府吹田市の千里丘陵で開催されました。海外から76か国が参加、入場者数は6,421万8770人を記録しました。
テーマは 「人類の進歩と調和」。
太陽の塔を中心に、世界各国と企業のパビリオンが立ち並び、その周りをモノレールやロープウェイが走る。移動用に「動く歩道」が整備され、アメリカ館の「月の石」やソユーズを展示したソ連館には大行列ができ、企業館では三菱未来館や日立グループ館などが人気を集めました。
この「大阪万博」で提示された当時の夢の技術「リニアモーターカー、電気自転車、テレビ電話、携帯電話」などは50年を経た今、現実のものとなっています。
大成功を収めた1970年の大阪万博
日本の高度経済成長期を語る際、必ずといっていい程「大阪万博」が挙げられます。
経済効果は約4兆9,509億円といわれ、開催に合わせて高速道路が開通、関西のインフラ整備も整い大きなレガシーを残しました。この「大阪万博」を契機に、日本は経済成長の追求だけでなく質的に充実した経済発展を目指すことになり、それを実現していきました。
そして、その55年後の2025年「大阪・関西万博」が開催されます。
動き始めた「大阪・関西万博2025」、経済に与えるインパクトは
「2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)」は2025年4月13日から10月13日の184日間にわたり開催されます。
テーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」。
これまでに合計153の国・地域と8つの国際機関が参加を表明、入場者数は2,820万人、そのうち350万人の外国人が訪れることが予想されています。
会場は大阪港の「夢洲(ゆめしま)」という人工島、ここには万博の後「大阪IR構想」によってホテルをはじめ様々な商業施設が誘致される予定です。
関西地域はこの一大イベントにより、世界各国からの来場者や出展企業で活気づけられ、多くの訪問者によりホテルやレストラン、交通機関などの大きな需要が発生、その経済波及効果額は約2兆円とも2兆8000億円とも試算されています。
さらにその効果は周辺地域の観光業やインフラ整備にも及びます。交通機関や道路のリニュアル、新しいホテルや商業施設の建設により地域の魅力が向上し、観光業やサービス業はもちろん建設業や物流業にも寄与し、雇用機会の増加も期待できます。
以上のように「大阪・関西万博」の開催は、大阪・関西経済圏はもちろん日本経済にも多大な影響を与えることになるでしょう。
最先端技術の発表の場
そしてここで発表される「未来の技術」に大きな注目が集まることになります。
2025年時点の最先端技術から導き出される「未来の技術」は、現時点で想像することはできませんが、テクノロジーやビジョンが発表される民間パビリオンとして、
NTT、住友グループ、パナソニック、三菱グループ、パソナ、吉本興業などの出展が決まっています。
また「未来社会ショーケース」という6つの領域の事業の共同発表も見逃せません。「スマートモビリティ万博」「デジタル万博」「バーチャル万博」「アート万博」、「グリーン万博」「フューチャーライフ万博」が設定され、「空とぶクルマ、ロボット、デジタル大容量通信、大型映像、サイネージ、バーチャル、XR、次世代発電や次世代電池」などの技術・製品や「未来の都市・住宅・交通」「未来のヘルスケア」「未来の食・農業」など約30のプロジェクトが発表されるとのことです。
これらの「最先端テクノロジー」により、日本の産業界が活性化し「新たな成長のステージ」が始まると考えます。
開幕2年前にあたる今年の4月13日、夢洲の会場予定地で岸田文雄首相、西村康稔経産相が参加し起工式が実施されました。公式参加国や民間パビリオン出展者への敷地の引き渡しが行われ、建設工事も開始されました。開幕まであと「2年」を切り準備も本格化しています。
55年前、大阪でみた「未来の夢」は現実となりました。
「2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)」、半世紀を経て、また、ここから未来が始まります。