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舞台は東京から大阪・関西、そして地方都市へ ～ アジアの高級ホテルが続々開業
2023年7月10日掲載
東南アジアの中間層、富裕層のインバウンドが激増しています。
6月22日のコラム「訪日外国人が急増。中国人はまだ来ない？」
で書きましたが、発展を続ける「東南アジア」の国々からの訪日客数が急伸しています。
東南アジアの人々からの日本の人気は非常に高く、ここ数年の経済発展による所得の伸びと円安、また新型コロナウィルスの規制緩和のタイミングも合わさり、多くの人々が日本全国を訪れています。今年の4月のタイ、シンガポール、 マレーシア、インドネシア、フィリピン、 ベトナム、インドの7か国の入国者数は40万人で、全訪日外国人数の2０％を占めています。
表舞台は、東京から大阪・関西へ
東南アジアには、地元の財閥系で各国の文化を活かした「超高級ホテル」が多数存在、自国の富裕層や世界のＶＩＰが宿泊しています。きめ細かいサービスとそれぞれの文化を活かしたソフト面で高い付加価値を生みだしています。「量より質」、人数を追うのではなく顧客それぞれの満足度を高め一人当たりの単価を上げる方法で各国の「フラッグシップホテル」としての地位を築いています。
そして、ついにこれら東南アジアの高級ホテルの日本への進出が始まりました。主に今、訪日外国人に人気の高い「大阪・京都」がその舞台となります。
まず7月1日、大阪・難波に約500室の大型ホテル「センタラ グランドホテル大阪」が開業しました。タイを代表するホテル「センタラ」は、タイのほかベトナムなどで約90のホテルを展開していますが、アジア東部へ進出は初になります。
そして京都には、同じくタイの「デュシット」が2つのホテルを開業させます。デュシットは14カ国で300超のホテルを運営、まず6月に若い層をターゲットにした「アサイ」を開業、9月には京都駅の近くに高級ブランド「デュシタニ」も開業させます。
また、すでに京都で「ダーワ」と「ギャリア」というサブブランドで2つのホテルを展開しているシンガポールの「バンヤンツリー」が、2024年に京都東山にフラッグシップホテルを、2025年には同じシンガポールの「カペラ」が京都の祇園に、開業する予定です。「カペラホテルズ」はシンガポール、バンコク、ハノイやバリ島などで展開する高級ホテルブランド。「バンヤンツリー」、「カペラ」とも隈研吾建築事務所が建築デザイン監修を行います。
一方、「大阪・関西万博」を控えた大阪では「欧米の高級ホテル」の開業が続きます。米国のヒルトンが2025年にJR大阪駅の再開発地区に最高級ブランド「ウォルドーフ・アストリア大阪」を日本で初めて開業させます。これで、大阪・梅田地区の外資系ホテルは、ヒルトン、ウェスティン、リッツカールトン、インターコンチネンタルに続く5件目になります。また梅田から少し離れますがコンラッドやセントレジスもあり、大阪は「外資系高級ホテルブランド」がひしめくことになります。一見、供給過剰かとも思われますが、インバウンド需要がコロナ前に戻り、25年の大阪・関西万博の開催を考えると、まだまだホテルが足りない状況ということす。
そして、その波は地方都市にも及んでいます。
地方都市が復活していく
世界最大のホテルチェーン「マリオット」が、先月6月21日福岡に「ザ・リッツ・カールトン福岡」を開業、1泊10万円超える室料は、地方にはなかった価格帯です。また同じくマリオットは福岡に先駆け鹿児島に「シェラトン」を開業しており、2024年には去年「ヒルトン」が進出した長崎にも開業をさせる予定です。札幌にも2025年に「インターコンチネンタル・ホテルズ」、2026年に「ハイアット」が開業する予定です。
このように、オリンピック「TOKYO2020」までは、東京・首都圏に一極集中していた高級ホテルの進出が、関西から地方の都市に広がっています。外資の高級ホテルの開業は、停滞していた地方都市の景気を刺激し雇用面での貢献はもちろん周辺の飲食やサービス業への影響も小さくなく、街を活気づけ、地方都市の復活が始まると考えます。
そして、外資のホテルの進出で国内の名門ホテルは苦戦を強いられることは間違いありません。人件費の高騰や労働力不足もあり再編、破綻するホテルも出てくると思われます。大阪の名門「リーガロイヤルホテル」の土地・建物の売却は特徴的な出来事でした。「おもてなし」の心だけでは生き残れない可能性もあります。
