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与党大敗の結果を受けた「新たな枠組み」は?「重大局面となる2週間」が始まります

2024年10月28日掲載

1027日の総選挙。久しぶりに開票速報を食い入るように観た方も多かったのではないでしょうか。

「衝撃の結果」か「予想通り」だったか、人によって感想は違うかもしれません。しかし政権与党が「大敗」、2009年以来15年振りに過半数を獲れなかったのは事実で、理由は様々ですが一つの決着がつきこの後の政権の体制がどうなるのか、興味はこの1点に絞られます。

自民・公明で215議席は、無所属となった当選議員を追加公認しても過半数の233には遠い数で、現在の与党が引き続き政権を維持するには他の党との連携が不可欠になります。もしくは立憲民主党を中心とした現野党への政権交代が起きるのか?その行方は選挙結果の余韻に浸る暇もなく各党新たな枠組みを探る様々な駆け引き、首相指名選挙へ多数派工作が急ピッチで進んでいるでしょう。

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注目される今後のスケジュール

この後、特別国会が召集され「首相指名選挙」が行われます。憲法では「衆院解散による総選挙から30日以内に国会を召集しなければならない」とされていますので、1126日までが期限ですが、通常は投開票日から10日前後で開かれているため、来週の11月第1週に特別国会が開かれる可能性が高く、この特別国会で石破内閣は総辞職、新たに選ばれた衆議院議員と参議院が次の首相を指名することになります。

首相指名選挙は「白票含めた投票総数の過半数」に達しない場合は上位2人の決選投票となり、その場合は過半数に達しなくとも「得票が多い方」が選ばれます(衆院の判断が優越されます)。

自公、立民いずれも、この特別国会までに他党との連立合意ができればすんなりと決まりますが、日本維新の会や国民民主党などは1回目の投票でそれぞれの党首に投票するとみられ決選投票となる可能性が大です。決戦投票では白票を投じる党がでる可能性があり、その場合は「自民・公明」は引き続き政権を維持することになるでしょう。

枠組みの可能性は複数

今後の政権の枠組みの可能性は下記が考えられます。

1.自民・公明が国民民主党、日本維新の会のいずれかをとり込み新たな連立政権を作り政権維持

2.立憲民主党が野党を結集した連立政権を樹立

3.国民民主党、日本維新の会が、首相指名選挙では自民・公明に協力するが連立には加わらず、自民・公明政権の政策に協力

可能性では「自民・公明が政権を維持」する方が高いですが、その場合は衆議院で過半数を持たない内閣となるため政権運営は非常に難しくなり政治不安は強まります。そして他の政党の協力を得るにはその党の政策を取り入れなければならなくなります。

国民民主党は公約として基礎控除の103万円から178万円への引上げや消費税減税、ガソリン減税などを掲げていますが、自民・公明は、こういった他党の政策を無視できなくなり、経済政策では財政出動が拡大、また金融緩和の継続へと方針を修正する必要が出てきます。

一方の立憲民主党は、あくまで政権交代を目指し野党結集を働きかけますが日本維新の会や国民民主党とは外交・安全保障、エネルギー戦略、憲法などで相容れない部分が多く簡単にはいきそうもありません。

総選挙から一晩明けた28日の昼現在では、「日本維新の会、国民民主党、れいわ新選組」それぞれ「自民・公明」また「立憲民主党」との連立にはNOの姿勢を表明。しかし日本維新の会、国民民主党ともに「是々非々で政策が一致するなら協力」という姿勢を表明しています。

また自民党内では「石破首相への責任論」も出てきています。石破氏の続投が大勢のようですが、もし首班指名で造反が起これば政治の混乱は一層強まります。混乱が強まりこれからの政局運営や政策の不確実性が高まれば、金融市場も混乱、円高・株安が進む可能性も出てきます。

そして115日にはビッグイベントの「アメリカ大統領選」。

これからの2週間は政治と金融マーケットの今後を左右する重大な局面を迎えます。

私たちは固唾を飲んで見守るしかありません。

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