GLOBAL&TREND

2026年の日本と世界の行方は

2026年1月5日掲載

2026.jpg

新年あけましておめでとうございます。2026年が始まりました。今年もよろしくお願いいたします。

今年も早速、新年早々の1月3日に「アメリカがベネズエラのマドゥロ大統領を拘束する軍事作戦を実行」というニュースが入り、世界を驚かせています。今後も世界各国がどう動くのか余談を許しません。この事で、2026年も昨年からの予測困難性が継続していることを思い知らされました

振り返りますと、2025年は、早々の120日にトランプ氏が新大統領に就任し次々と予測困難な発言を連発、そして4月には「トランプ関税」を発表、国際社会や金融市場、マーケットは混乱しました。また地政学的リスクも次々と顕在化しました。イスラエルがガザ侵攻に次いで実行したイラン攻撃。終結しないロシア・ウクライナ戦争とともに国際社会は新たな戦争の時代に入ったのかもしれません。 

株式市場を見ると日経平均の2024年末終値は39,894円。20254月のトランプ関税発表後には、47日に30,792円まで急落しましたが、NVIDIAに象徴される半導体関連、データセンター関連銘柄が相場を牽引し、114日には取引時間中に52,636円の最高値を付け年末終値は50,339円となりました。

2026年は午年です。マーケットの世界では「午尻下がり」という言葉があり、年の後半にかけて株価が下落しやすいとされます。もちろん迷信の域を出ませんが、楽観が許されない年になる可能性は高いと考えられます。

では、2026年、日本と世界はどうなっていくのでしょうか。

日本と世界は?

まず国内政治では「高市政権の政策運営」が注目されます。女性初の首相となった高市早苗政権。支持率は非常に高い水準で推移しています。

経済政策は、積極的な財政出動と成長戦略を前面に打ち出しています。名目成長率を高め、インフレ下でも実質成長を維持することが狙いですが、財政規律とのバランスが課題になります。昨年12月に2026年度の予算案が発表され、一般会計が昨年の115.2兆円を上回る、過去最大の約122.3兆円とする方向で最終調整に入っています。

また政策面では、経済刺激策に加え、防衛費をGDP2%に引き上げる計画を前倒しするなど安全保障政策にも注力する方針です。

「インフレの時代」

2025年後半から、食料品価格の上昇は一段と顕著になりました。輸入原材料価格の上昇、円安、物流費の高止まりが重なり、生活必需品の値上げが相次いでいます。

長年続いた「デフレ」は完全に終わり、日本は世界に遅れて本格的な「インフレの時代」に突入しました。また、不動産は都心のみならず地方都市でもマンション価格が上昇し「資産インフレ」が鮮明になっています。

金利の動向も大きな注目点です。日銀は金融政策の正常化を進め、2025年には1月と12月の2回、政策金利の引き上げを行い12月には0.75%となりました。0.5%を超える政策金利は約30年ぶりです。この政策金利の更なる引上げとそのタイミングが注目されます。物価上昇は続き、賃金は2024年、2025年に続き2026年も賃上げが確実な見通しで、利上げの環境は整っています。

<今年の日本銀行金融政策決定会合は以下の8回>

122日(木)・23日(金)   

318日(水)・19日(木)   

427日(月)・28日(火)   

615日(月)・16日(火)   

730日(木)・31日(金)   

917日(木)・18日(金)   

1029日(木)・30日(金)   

1217日(木)・18日(金)

 

そして高市首相がいつ「解散、総選挙」という切り札を切るか、このタイミングも注目です。2026年度予算案が国会を通った後の4月の可能性も有力です。日銀は利上げや利下げの実施が、重要な政治イベントとバッティングすることを嫌う傾向があります。この場合、もしかすると3月に再度の「利上げ」ということも考えられます。

ではアメリカ、トランプ大統領はどう動くでしょうか。

113日には米国で中間選挙が行われます。これは今後2年間の政権運営を左右する重要な選挙となり、その年は一層「国内景気」が優先されることが多くなります。

その一つの金利政策。トランプ氏は一貫して「利下げ」を求めてきましたがFRBは独立性を保ってきました。しかし、FRBのパウエル議長が515日で任期満了となります。トランプ氏は自分の意に沿う後任を考えており、年に8回予定のFOMCに注目が集まり、マーケットはトランプ氏や議長の発言、ドットチャートなどに過剰反応する局面が増えるでしょう。

そして2026年の一つの懸念点として「日中関係の悪化」が挙げられます。11月から急速に悪化している習近平政権の日本への姿勢。この状況は長期化する予想で、インバウンドの観光収入の落ち込みから貿易収支の悪化を招き、「円安」を加速させまる要因になります。

アメリカと世界の動きは?

トランプ大統領は12月に新たな国家安全保障戦略(NSS)を発表。そこで、アメリカは自国の国益を最優先し、中南米を中心とした西半球を重視する「トランプ版モンロー主義」を唱えました。冒頭に書いた1月3日の「アメリカによるベネズエラへの攻撃と現職の大統領を拘束」というニュースは、まさにこれに則ったものと考えられます。この方針は、アメリカが世界の警察として国際秩序を維持する役割を放棄することを意味し、戦後80年続いた国際秩序が揺らぐことになります。

今回のアメリカの突然の軍事介入は、現状世界各地起きている地政学的リスクに非常に大きな影響を与える恐れがあります。

まず、長期化するロシア・ウクライナ戦争。年末に行われたトランプ大統領とゼレンスキー大統領のマイアミでの会談で、停戦合意に一歩近づいたと言われていますが、まだ先行きは不透明です。

そしてNATOも試練の時を迎えています。「トランプ版モンロー主義」で、アメリカの関与低下が現実味を増しました。ヨーロッパ各国は、新たな自立した防衛体制の整備を迫られることになります。

中東では、イスラエルのガザ侵攻に加え、イランへの再度の攻撃が危惧されます。年末の1229日にトランプ大統領とネタニヤフ首相が会談し「イラン核開発なら再び攻撃する」と表明。イスラエルのイラン攻撃は一過性の出来事ではなく、報復の連鎖を生む火種として残ります。ネタニヤフ氏は政権の維持が最大の政治テーマです。恩赦問題と政権延命のために、緊張状態が長期化するとの見方もあります。

一方、悪化する日中関係の端緒となった「台湾有事」は、現実味が増していると感じます。中国の軍事演習は回数を重ね、その正当性のアピールも忘れていません。

今回のアメリカのベネズエラへの軍事介入は、上記の、ロシアや中国の他国への強硬な行動を正当化してしまう可能性が非常に高く、大国であれば他国に軍事介入してよいという危険な流れが、2026年のトレンドにならないことを祈るばかりです。

また、ヨーロッパでは、イギリスの「リフォーム党の台頭」が既存政治を揺さぶっています。ポピュリズムの波は、もはや一部の国に限定されず、この流れが世界の大きな潮流となる可能性が高いです。一方でドイツが中国に接近。これはEU内部の分断を招く可能性もあり、ヨーロッパの対中政策は一枚岩ではなくなっています。

スポーツイベントとメディアの変化

2026年はスポーツの年でもあります。「ミラノ・コルチナ冬季オリンピック」、「WBCワールドベースボール・クラシック」、「サッカー・ワールドカップ北中南アメリカ大会」、そして9月の「アジア大会・名古屋」。このような世界規模のスポーツイベントはナショナリズムの再認識を起こしますが、今年は、春から秋までビッグイベントが続き、その傾向は一層高まるでしょう。

そして、ここでの一つの注目点が、WBCの中継権をNetflixが獲得したことです。地上波・BSでの中継がなくなります。今、スポーツ視聴の主戦場は完全にネットへ移行しています。これは単なる視聴方法の変化ではありません。「テレビを持たない世代」が主流となり、広告モデル、情報収集、世論形成の構造そのものが変わりつつあります。このように2026年は、国民のテレビ離れ、オールドメディアの凋落が決定的となる年になる可能性があります。

その他、私たちの生活面で起こる変化として大きいのは、やはり生成AIの一層の普及でしょう。AIエージェントが一般化、仕事ではAIが補助ではなく「前提」となり、消費ではレコメンドが意思決定に影響を与えるなど、あふれる情報の選別を代行してくれるようになるでしょう。しかしこの便利さと引き換えに、私たちには「情報の真偽を見抜く力」と自分で考える力」が必要になります。

以上、2026年の可能性をいくつか挙げましたが、私たちは実際には何が起こるかを知ることはできません。もしかすると数百年に1度レベルの大災害に見舞われる可能性もゼロではありません。しかし「起こりえる事」を想像しリストアップ、備えることは可能です。

今、私たちは「不確実な時代」の真っ只中にいます。だからこそ、冷静に現実を見つめ、準備を重ねることが、2026年を健やかに過ごす最大の防御策になるのではないでしょうか。素晴らしい一年になることを心より祈念いたします。

GLOBAL&TRENDバックナンバー

トヨタも巻き込むロケットベンチャー「インターステラテクノロジズ社」の可能性

「生成AI」を巡る熱狂と「AIバブル論」、今後の行方

「インフレは終わらない」、その構造的な背景

トランプを支える「2人のスティーブン」スティーブン・ミラーとスティーブン・ミラン

『デジタル・リバタリアン』が揺るがすアメリカ ピーター・ティール氏の影響力

ライン登録