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2025年の世界の行方は 開幕する「トランプの時代」そして日本は「インフレの時代」へ

2025年01月06日掲載

新年あけましておめでとうございます。2025年が始まりました。今年もよろしくお願いいたします。
2024年は国内外ともにいくつもの転換点があった年でした。中でもマーケットは、1月に新NISAが始まり、アメリカの好景気もあり投資への興味が上昇、「貯蓄から投資」へと流れが確実に変わりました。7月には日銀が政策金利を0.25%に上げ、小さいですが金利が復活し、日経平均も4万2000円(最高値4万2224円)を突破しました。その後8月上旬には大きな下落もありましたが、年末の日経平均株価は3万9894円、1989年末に付けた最高値を35年ぶりに更新し終えました。
2025年、世界では引き続き「経済・インフレ対策」「エネルギー問題」が大きな議題となるでしょう。世界で続くインフレを抑え込もうと各国の中央銀行は細心の注意を払いながら舵取りを続けることになります。また逼迫が予想されるエネルギー問題への対応や環境・気候変動、地域紛争の解決など、取り組むべきテーマは多岐にわたると考えられます。

1月20日新しいステージが開幕

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そうした中、早速、1月20日にトランプ氏が新大統領に就任、新たなステージが幕を開けます。

トランプ大統領の言動や一挙一動が世界の多くのテーマに影響を及ぼすと思われ、大きくは「自国第一主義の復活」により、現在までのアメリカ中心の仕組み・秩序が再度崩れる可能性が大です。


トランプ政権を占う最近のニュースやメディアには下記の言葉が頻繁に登場しています。
「自国優先保護主義」「グローバリズムの崩壊」「世界の分断」「デカップリング」「フレンド・ショアリング」

「ポピュリズム」「反ESG」「移民への対策」・・・どれも21世紀に入り世界が進んでいた方向とは真逆の意味を持っています。

世界はどこに進んでいくのか、2025年は大きな転換点となってしまうのか

まず世界経済への影響、中国からの輸入品に60%、それ以外の国にも10〜20%の関税を課すと公約。実行され、世界の経済へ打撃をあたえることになります。
中国も敏感になり何らかの動きをみせることは確実で米中の綱引きが激化、あわせて「台湾有事」の可能性もはらんでいます。
一方で長引くロシアのウクライナ侵攻、ガザでのイスラエルとハマスの戦闘の早期の終結は期待できます。しかしどちらも片方が譲歩を強いられると思われ、和平プロセスへの国際的な関与が必須です。


そして、忘れてはならない問題が環境・気候変動についてです。

これは世界的なテーマで11月ブラジルにて「COP30」が開催されます。2030年までの温室効果ガス削減目標を達成するための具体的な行動計画対応は急務ですが、台頭する「グローバルサウス」と先進国との溝は小さくはありません。
その「グローバルサウス」と新興国の代表として「BRICS」が世界で存在感を高めています。
今年のG20の議長国は「BRICS」の南アフリカ。11月にはアフリカで初の「G20サミット」がヨハネスブルクで開催されます。この機会にグローバルサウスや新興国、アフリカ各国などの発展途上国が一層大きな発言力を持っていくと思われます。

このような大きな世界にトレンドに対し、トランプ氏は「パリ協定からの再離脱」「NATOからの脱退」もほのめかしており、再び自国第一主義を貫くことでこの流れを止め混沌状態になることも考えられます。

●2025年の世界の主要カレンダー

・1月20日::アメリカ合衆国の大統領就任式
・2月20日~21日・26日~27日:南アフリカ共和国「G20外相会合、G20財務相・中央銀行総裁会議」
・6月15日~17日::カナダ・カナナスキス「G7サミット」
・11月22日~23日:南アフリカ共和国「G20サミット」
・11月~12月:「COP30」(気候変動枠組条約締約国会議):

国内で続く綱渡りの政権運営

日本国内も波乱の要素が存在します。政治では昨年10月に自民党が小数与党となり石破政権は慎重な舵取りを続けています。7月に行われる参議院選挙でもし与党が大きく議席を減らし、昨年の衆議院選に続き与党過半数を失えば13年ぶりの政権交代の可能性が大で、政治体制が大きく揺らぐことになり日本経済にも大きな影響を与え、今までの官僚主導体制の崩壊もあり得、大きなインパクトになるでしょう。

●2025年 日本の主な政治スケジュール

・4月13日~10月13日: 大阪・関西万博
・6月末~7月上旬:東京都議会議員選挙
・7月中旬~末:参議院議員選挙

「インフレの時代」へ

そして、昨年、マイナス金利・ゼロ金利時代が終わり「金利のある時代」に戻りました。
また長期間日本にしみついていた「デフレ」も終わり、輸入コスト増による一時的なインフレが続いていますが「インフレ」が当たり前の日本経済となると思われます。

「インフレ」に移行する要因としては次の8つのファクターがあります。

・賃金の上昇
・エネルギー価格の上昇
・円安による輸入物価の上昇
・世界的な原材料価格の上昇
・国際的なインフレ圧力
・消費喚起を目的とした財政出動や減税策などの政府の財政政策
・適度な金利上昇を容認する中央銀行の金融政策
・コロナ禍の影響から需要の完全回復

これらの要因が同時に作用することで、インフレが発生する可能性が高まります。2025年の日本はこれらのカードが揃ってきています。ただしインフレが「健全な物価上昇」になるためには、賃金上昇が伴い、実質所得が向上することが重要です。


日銀は昨年12月の利上げは見送りましたが、インフレ率が安定して2%を超え賃金の上昇が見込まれる場合、利上げを実施することは確実です。現在の0.25%を0.5%に上げるのも近いでしょう。

●2025年 日本銀行金融政策決定会合スケジュール

第1回 1月23日・24日
第2回 3月18日・19日
第3回 4月30日・5月1日
第4回 6月16日・17日
第5回 7月30日・31日
第6回 9月18日・19日
第7回 10月29日・30日
第8回 12月18日・19日

「インフレへの備え」が大切

2025年は「昭和100年」そして「戦後80年」、また「21世紀の四半世紀」にあたります。
戦後の急激な高度成長を果たし世界の大国となり、その後のバブル崩壊から失われた30年・長期のデフレを経て、やっと「インフレと金利のある時代」に戻ると思われます。

混沌としている現在、2025年に何が起こるか正確な予測は困難です
ただ「起こりえる事」を予想しリストアップをして準備をすることは可能です(中にはもちろん予期せぬ災害も含まれます)。その中でも「インフレの時代」を迎えることは想像に容易です。まずはその「準備」をしておくことが大事だと考えます。2025年を健やかに過ごすために。

素晴らしい年になることを祈念いたします。

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