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パリは燃えているか?、この夏、スポーツの熱狂が戻ります

2024年6月6日掲載

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7月26日、パリオリンピックが開幕します。

残り2か月を切り、各競技の出場権、また日本代表選手が続々決定しはじめ、これから急激に盛り上がっていくでしょう。

2021年の東京大会から3年が経ちました。

前大会、既に記憶が薄れてしまいましたが、当時はコロナ禍、第5波の真只中、開催の是非も問われ、残念ながら無観客での過去にない異例の大会となってしまいました。

そして今大会は、2016年のブラジル・リオオリンピックから2大会ぶりのリアルでの開催となります。しかもパリでの開催は1924年以来の100年振りとなります。

パリと日本とは時差が7時間なので、LIVEで見るには夜から深夜になってしまいますが、競技の模様と夏のパリを映像をたっぷりと楽しむことができるでしょう。

家電量販店は有機ELテレビへのニーズの高まりを期待しています。

今大会の最大の特徴は、パリの既存の歴史的地区・建造物を競技会場にしていることではないでしょうか。会場は全体の95%を既存インフラで活用、競技施設はパリの既存のスポーツ施設だけでなく、有名なモニュメントやランドマークを会場として使用します。

「エッフェル塔」の下ではビーチバレー、「アンヴァリッド」ではアーチェリー、「コンコルド広場」のBMX(自転車)、「グラン・パレ」のフェンシング、「べルサイユ宮殿」では馬術が行われます。

特に注目は7月26日の開会式(現地時間:午後7時30分、日本時間7月27日午前2時30分開始)です。スタジアムや競技場でなく、セーヌ川を使い船での行進は史上初、画期的です。

オウステルリッツ橋を出発し、パリ植物園のそばを通り、サン・ルイ島とシテ島の横を通り、セーヌ川の様々な橋の下を通過、エッフェル塔横のイエナ橋まで全長6キロの区間を船で下り、パレードは式典の行われるトロカデロ広場へ移ります。

選手は船上から、ノートルダム寺院、ルーブル美術館やオルセー、コンコルド広場、アンヴァリッド、グラン・パレなどパリのシンボルを眺めることができます。

私たちも、映像でその模様、セーヌ川からのパリの景色を楽しむことができるでしょう。

コロナが明け、既にパリはインバウンドで大賑わいですが、この大会の模様が、そしてレガシーとパリの街並みが全世界に放映されることで、一層観光客を集め、インバウンド需要がより高まるのは明らかです。世界の観光都市の人気ランキングではパリは常にTOPですがしばらくその地位は盤石でしょう。

「パリは燃えているか?」

パリの歴史は、ギリシャやローマに比べれば歴史は遥かに浅く、多くが12世紀以降、16世紀から18世紀のブルボン朝、そしてナポレオン、共和制と帝政の19世紀に造られています。そしてパリの建造物と景観は、考えつくされた都市計画に基づき整備され、その姿を今に保っています。しかし80年前に大きな危機がありました。

「パリは燃えているか?」、映画にもなったこの言葉。第2次世界大戦の末期ヒトラーが側近に言った言葉です。パリ陥落が決まった時、ナチスドイツは撤退時に今までも常套手段としていた焦土作戦として、パリ市街を跡形もなく焼き払うことを総司令官に命じました。

ヨーロッパの華、歴史的建造物や貴重な美術品が姿を消すことはほぼ決まりでした。

しかし、当時のナチスドイツの大パリ軍事総督のディートリッヒ・フォン・コルティッツはその指令を無視、1944年8月25日 ベルリンからの「パリは燃えているか?」の問いかけに応えなかったといいます。

その模様を描いたルネクレマンの超大作映画「パリは燃えているか?」はあまりにも有名です。この映画は、1966年制作で、余談ですが脚本にはフランシス・フォード・コッポラが参加。この6年後1972年にコッポラはゴッドファーザーを発表しています。

歴史的建造物で行われる主な競技

歴史的建造物で行われる主な競技は下記です。

・エッフェル塔シャン・ド・マルス公園:ビーチバレー
・ベルサイユ宮殿:馬術、近代五種
・グラン・パレ:フェンシング、テコンドー 
※1900年のパリ万国博覧会のために当時最先端の技術を駆使して建設
・コンコルド広場:スケートボード、自転車・BMXフリースタイル、バスケットボール3人制、ブレイキン
※パリのセーヌ川右岸の中心部の大広場。ルイ16世やマリー・アントワネットへのギロチン刑が行われた場所
・アンヴァリッド廃兵院 アーチェリー、陸上、自転車
※ルイ14世時の17世紀、退役軍人のための軍病院または療養所として建設。皇帝ナポレオン・ボナパルトの墓がある
・アレクサンドル3世橋:自転車・ロード、トライアスロン競泳
※1900年の万国博覧会で落成。アンヴァリッドとグラン・パレと結ぶ橋。橋の両端にある4つの金色に彩られたブロンズ像は象徴的
・パリ市庁舎:陸上 
※1871年に建造されたネオルネッサンス建築

また、面白いのはサーフィンです。会場はなんと遠く離れたフランス領ポリネシア・タヒチ。歴史上、開催都市からもっとも遠く離れた競技会場となります。

現在の「近代オリンピック」の父、クーベルタン男爵はフランス人。フランスは近代オリンピックにとって重要な位置を占めています。そのため開会式のアナウンスでは、英語より先にフランス語が流れます。

100年を経てパリに戻った今回の大会。競技だけでなくパリの文化も楽しめる、今までとは違う新たなオリンピックを見ることができるでしょう。

そして7月~8月「パリが燃えている」ことは間違いないでしょう。

8年振りの熱狂の夏になります。

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