GLOBAL&TREND
猛スピードで進化を続ける「AI」始まった覇権争い
2025年4月8日掲載
世界はトランプ関税で大きく揺れ視線はそちらに集中していますがテクノロジーは止まってはいません。この2週間、AI開発のニュースが賑わっています。今、AIの覇権争いが始まっています。
2022年、OpenAIが「ChatGPT」をリリースしてから3年。対話型AIは着実に浸透しています。何かを調べる際、PCだけでなくスマホでも、より簡単に素早く莫大な情報から最適で簡潔にまとめられた「情報」が提供され、一度使うと手放せないサービスとなっています。このAIの進化スピードは急速で、OpenAIは1月に、対話型からグレードアップした「AIエージェント」の提供を開始しました。
人間の秘書となる「AIエージェント」
この「AIエージェント」、ChatGPTでは「Operator(オペレーター)」と呼ばれ、人間が指示を出さなくてもAI自らが目的を理解して自律して仕事をしてくれるもの。AIがWebブラウザを利用して最適なものの検索はもちろん、例えば、選んだレストランの予約、旅行のプランの作成と予約、ネットでの商品検索とカード決済、コンサートチケットの申込・購入といったことを任すことができます。
またビジネスでは、データ収集からシートへの記載や更新、メール送信などなど幅広い作業を自動で行うことなどが可能となり、私たちに大きな変化をもたらすと思われます。
OpenAIは3月31日にChatGPT利用者が世界で5億人を突破したと発表。
3月末での企業価値は3000億ドル(約45兆円)となり、昨年10月の評価は1570億ドルだったので半年で倍近くとなり、トヨタ(41兆円)を超え非上場企業では世界最大となりました。しかしAIの開発費はクラウドの利用料や人件費などで巨額となり、業績は未だに赤字です。
こうした流れを受け、OpenAIは3月31日、ソフトバンクグループ(SBG)などから400億ドル(約6兆円)という巨額の出資を受けることを発表。今後、より高度な計算インフラの研究や計算処理に欠かせないデータセンターの整備を進めるとのことです。
「MS、Google、Meta、、」激しさを増す開発競争
このOpenAIにも様々なライバルが現れAIの覇権争いは激しさを増しています。
今年1月の中国のDeepSeekの報道は、エヌビディアの株価を動かし世界のマーケットに影響を与えました。
早くにOpenAIへの出資を行い協業関係の『Microsoft』は、3月27日、AIの基盤モデルをwordやExcel向けに自社開発すると発表。現在はChatGPTベースの「Copilot」を展開していますが、同社のクラウド基盤「Azure」で使用できるAIも、DeepSeekをはじめ様々な生成AIが使用可能。OpenAIから距離をとり始めたとみることができます。
また『Google』も3月25日に、生成AIの最新盤モデル「Gemini2.5」を発表しました。数学やプログラミングといった複雑な問題へ回答するため、「論理思考モデル」が進化したものと言われています。
通常の対話型AIは前に学んだ知識に基づき回答しますが、「論理思考モデル」は時間をかけ論理的に考えて回答するもの。この「論理思考モデル」はOpenAIやDeepSeekが先行していますが、今回の「Gemini2.5 Pro」は、数学問題への回答能力が両社を上回ると発表しました。
そしてザッカーバーグの『Meta』は、4月5日に生成AI「Llama4」を発表。MetaはこのAIを、同社の「Facebook」「 Instagram」との融合を目指し650億ドル(約9兆5000億円)を投資しデータセンターなどの整備を行うとしています。
先述の「AIエージェント」分野についても『Salesforce』や『Oracle』『Amazon(AWS)』が動き始めています。
AIに巨額の出資を決めたSBGの孫正義氏は「今後、AIの能力は18カ月で1000倍に進化、性能は4年半で10億倍に成長する」と話しています。
以上のように、巨大テック企業も乗り出しレースが始まっています。どこが勝者となるか、予想はつきません。この戦いはWebブラウザの変遷を思い出します。1990年代後半期、Netscapeの後、MicrosoftがWindowsにバンドルしていた「Internet Explorer(IE)」がシェアを独占しました。しかしその後、Google Chrome、FireFox、AppleのSafariが次々と現れ、モバイル端末・スマートフォンが主流になった結果、Chromeが主力となっています。
この急速に進化するAI。このテクノロジーの活用によって、様々な課題も抱えますが、
私たちのビジネス・生活は、気が付けば数年前とは明らかに違うものになっていると考えます。
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