GLOBAL&TREND

2024年の国内外の注目イベントは。マイナス金利の解除からアメリカ大統領選まで

新年あけましておめでとうございます。

2024年が始まりました。今年もよろしくお願いいたします。

まず2023年を振り返りますと、初頭はロシアのウクライナ侵攻の話題が多く、NATO諸国を中心としたウクライナ支援により反転攻勢が期待されていました。またコロナの規制が解かれたアメリカやヨーロッパでは、それまでの過剰貯蓄を原資とした個人消費が活発になり、春から夏にかけ景気を押し上げる一方、コロナ前まで世界経済をけん引していた中国経済の減速が表面化しました。テクノロジーでは「ChatGPT」の登場が世界を驚かせました。

国内では、5月のG7広島での各国首脳の原爆資料館の訪問やゼレンスキー大統領の電撃参加などで岸田首相への国内外からの評価が高まり、新型コロナウイルスの「5類」移行によるリベンジ消費への期待、企業の賃上げ、円安によるインバウンド消費の急増や製造業の業績の押し上げなど、マーケットにも明るい気配が漂っていました。

しかし、10月のパレスチナ・ハマスのイスラエルへの大規模攻撃を端緒としたガザ侵攻という地政学的リスクが火を噴き、内政では岸田首相の支持率の急落に加え、自民党のパーティー券の問題で政治や自民党への不信が爆発、岸田政権は危機的な状況に陥っています。

この流れを引き継ぐ2024年。世界では大きなイベントが目白押しで大きな転換点となる可能性があります。

gt20240104.jpg

2024年の主要スケジュール

国内

1月:新NISAスタート
1月26日(予定):通常国会の召集
3月・4月:マイナス金利解除?
3月・4月:春闘・賃上げ
4月1日:「時間外労働の上限規制」が建設・運輸・医業にも適用
7月3日:一万円、五千円、千円の3券種を改刷
9月30日:自民党総裁任期修了

海外

1月13日:台湾総統選挙
2月24日:ロシアのウクライナ侵攻から2年
3月5日:アメリカ大統領予備選 「スーパーチューズデー」
3月17日:ロシア大統領選挙
3月:ウクライナ大統領選挙の可能性
3月:中国全国人民代表大会(全人代)開催
7月20日:パリオリンピック開幕
11月5日:アメリカ大統領選挙

国内で注目される出来事

国内のイベントでは
1. マイナス金利政策の解除
2. 2024年問題・「時間外労働の上限規制」が建設・運輸・医業に適用
3. 自民党のパーティー券収入問題と岸田首相の進退
の3つが注目です。

2024年、新NISAが始まりました。個人の投資への注目が高まり、この新しい少額投資非課税制度(NISA)で「貯蓄から投資」の流れが加速する可能性は大です。

そして一番の注目は「長く続いたマイナス金利政策の解除」です。2016年のマイナス金利政策から8年を経たマイナス金利が終わり、金利が復活となると、債券の下落、住宅ローンの上昇など、景気への影響が懸念されます。日銀金融政策決定会合の直近の予定は、12223日、31819日、42526日。このどこかで日銀はマイナス金利の解除を発表すると予想されます。

また73日には、一万円、五千円、千円の3券種を改刷され、肖像画は一万円札:渋沢栄一、五千円札:津田梅子、千円札:北里柴三郎となります。この新札への改刷は、旧紙幣からの交換の際に「50兆円」といわれるタンス預金が消費や投資に回ることによる経済の活性化への期待もあるようです。

2024年問題」。これは5年前から既に予定されていました。コロナが明け経済が再開、建設ラッシュや物流・宅配のキャパオーバーなど、現在でも人材不足は大きな問題となっています。これらはマンパワーの問題なので短時間での解決は不可能。規制が適用される4月以降私たちの生活への影響が心配されます。

政治では、年末に飛び込んできた自民党のパーティー券の問題。この行方は現時点では予想はつきません。検察がどこまで踏み込むか、現職議員が複数逮捕となればリクルート事件依頼の衝撃となります。支持率の低下が続く岸田首相が持たなくなった場合、後任の人事も大きな懸案となります。国内はもちろん、大きく動いている世界での日本のポジションに影響を与えかねず、1月下旬の通常国会の開催まで目が離せません。

世界は「トランプ氏の行方」に注目

2024年は世界的な史上最大の選挙イヤーになります。

中国では習近平氏が早々と3期目を確実にし、20243月のロシアの大統領選挙もプーチン大統領の続投は決定的。権威主義国家のリーダーは盤石な体制を整えましたが、問題は大国・アメリカの行方です。トランプ前大統領が復権するのか、各国は注視しています。

もしトランプ氏が返り咲いた場合、「アメリカ第一主義・保護主義」が復活し、ヨーロッパはもちろん世界に「不確実性」をもたらすと考えられます。 

対抗となる現職のバイデン大統領は、イスラエルのパレスチナへの強硬姿勢により国内から批判も起こり、民主党の候補者にもなれない可能性もあります。もし現職大統領が2期目の候補者に選ばれなければリンドン・ジョンソン氏以来となってしまいます。

混沌の世界情勢・3つの地政学的問題

今、世界は3つの地政学的問題を抱えています。

1つ目はウクライナ。ロシアの侵略から2月で2年になります。2023年の夏には反転攻勢が期待されましたが戦況は膠着、ヨーロッパ諸国の支援疲れも顕在化し、打開の見当も見えません。世界の目もガザに向かっています。一方のロシアは、プーチン大統領の5選は確実で、2024年から212年、最長で2036年まで大統領として君臨することが法律上は可能です。

アメリカでバイデン大統領が破れるとウクライナへの支援の縮小、停戦を提案する可能性は大きく、プーチン大統領はそれを待ち、少なくとも11月まではウクライナと戦い続けると考えられます。もし現状の領土のままで停戦となれば、ロシアが一方的に併合した東部の州の移譲を国際社会が認めることになり、第2次大戦前のナチスドイツにチェコスロバキアのズデーテン地方の帰属を認めたミュンヘン会議と同じ轍を踏むことになります。

2つ目はネタニヤフ首相が強硬にすすめるパレスチナのガザ侵攻。2万人以上の民間人が犠牲になり、世界から非難をうけてもイスラエルは手を緩めることなく攻撃は激しさを増しています。バイデン大統領はイスラエル支持を表明し続けるしかなく、1223日のネタニヤフ氏との電話協議でも「戦闘停止は求めなかった」と明かしています。22日の国連安全保障理事会の「ガザでの人道支援を拡大するための決議」の採択もアメリカの反対で「戦闘停止」の文字は盛り込めませんでした。

この攻撃に終わりは来るのか。イスラム諸国の怒りに火がつき拡大した場合の世界へ影響は計り知れません。イランの動きが心配です。

3つ目はチャイナリスク。中国経済が停滞、世界経済への影響も大きいですが、3期目に入り基盤を盤石にしたと言われる習近平氏の動きに注視が必要です。数年前から頻繁に発言される「世界は今100年に一度の大変局の真只中にある」という主旨の言葉。毛沢東を崇拝するという習近平が、毛沢東も鄧小平もできなかった「台湾統一」への動きをいつみせるのか、2024年は多くのタイミングが発生しそうです。万が一、台湾侵攻が起きた場合、日本は甚大な影響を受けるでしょう。また年末に入ってきた「北朝鮮の軽水炉が臨界に達した」というニュースも心配です。

2023年後半から一気に噴き出してきた「国内外の不安定要素」。結果は、次々とわかっていくでしょうが世界の「平和と安定」が壊されないことを祈るばかりです。

最後に、新年早々に能登半島地震が発生し多大な被害が発生してしまいました。経済・政治・地政学的な問題は連続性から予測は可能ですが、今回のような「天変地異」は例外です。「南海トラフ大地震」「富士山噴火」など大災害の可能性も忘れてはなりません。「様々なリスクを予測して準備」が重要と考えます。

GLOBAL&TRENDバックナンバー

年末年始「リベンジ消費」が好調の日本、「ハイブランド」のパーティーが終わった欧州

「世代交代」「新しい時代」を体現するニッキー・ヘイリー氏への期待

パレスチナ・ガザ。イスラエルのハマス攻撃の果ての「ワーストシナリオ」

金利の上昇は株価に絶対悪か?長期視点で見たマーケットトレンド

パレスチナとイスラエル、繰り返される戦争。アラビアのロレンスの後悔

一覧に戻る