GLOBAL&TREND
インフレは「資産」を減少させる、『複利』という加速度をつけて
2025年7月9日掲載
昨年から様々なモノの値段が急激に上昇しています。米やガソリンは最たる例ですが、ほとんどの食料品から様々なサービスまで、連鎖を重ねながらほぼすべての業種で価格上昇が起こり、その波が私たちを飲み込んでいます。
世界は数年前から景気が改善、同時に大幅なインフレになっていました。この流れは収まらずついに日本もインフレに入りました。
そして、その流れに竿を差すように、世界で移民に対する考え方が一方に傾き始めています。アメリカではトランプ氏によって、今まで労働に担い手だった移民を制限する方向となり強制送還も起き、EU諸国でも移民に対する考え方が変化。特にイギリスではBrexitで移民が制限されたために労働力が不足、人口減少の中、当然の結果として賃金の上昇を招き、深刻なインフレを招いています。日本でも参議院選を前にして、外国人労働者や移民について、ネガティブな意見が出てきています。
人口減少、労働力の不足による賃金上昇。インフレを起こすこの大きな要因は、長期に大きな影響を及ぼし簡単に解消は難しいでしょう。

この大きなトレンドは20年30年に及ぶとも考えられます。これをしっかりと認識することが非常に重要です。
そして、このインフレが続くと、「『資産』(現預金の価値)は年々減少していく」ということを忘れてはなりません。そして、その勢いは『複利』で加速度をつけて減少していきます。
この「複利で考える」ということは非常に重要です。
「年3%のインフレ」が続いた場合、24年後には資産は「1/2」に
ここでは投資の原点に返って『複利』についてのお話を紹介します。
例えば「年3%のインフレ」が続いた場合、24年後には今の資産の価値は半分になってしまいます。
◆「年率3%で物価上昇」した場合の「100万円の現預金の価値」
1年後:970,000円
2年後:940,900円
3年後:912,673円
4年後:885,293円
5年後:858,734円
10年後は:737,424円=「262,576円目減り」することになります。
『複利運用』について
資産運用によって得た「利子」にも「利子」がついていくことを『複利』といいます。最初の資産に利子を加えず「元本」のまま運用する「単利」に対し、長期間で考えると『複利』の効果は非常に大きくなります。
・例えば
◆「資産100万円を年率5%で運用した場合」
① 単利運用:毎年5万円、3年間合計で「150,000円」、10年間合計で「500,000円」の利子がつきます。
② 複利運用の場合は、発生した利子などを元本に組み入れ元本が増加。その結果利子に利子が付くことで3年間合計「157,625円」、10年間合計では「628,894円」の利子がつきます。
★「単利運用」と「複利運用」の利子の10年間合計の差は 「128,894円」
また前述のように「インフレ率3%」が10年間続いた場合、100万円の価値が「737,424円」と「262,576円」目減りすることになります。
これからの世界は、ほっておくと現金の価値が大きく減っていきます。それに対抗し、私たちが自身の資産を守っていくには「複利」で運用をしていかなければなりません。
もし「5%の複利で10年間運用」した場合、上記の様に「628,894円」の利子がつきますので、インフレに負けない資産運用となります。
『複利運用・72の法則』
最後に『複利運用・72の法則』というものを記載しておきます。
「72」を「運用する金利」で割ると「何年で元本が倍になる」かがわかるものです。
例えば、
① <年利3%で運用した場合>
「72÷3%=24年」→ 24年で元本が2倍に
②逆に72を年数で割ると「その年数で資産を倍にする」には何%の金利で運用すればいいかがわかります。
<20年後に「資産を倍にしたい」場合>
「72÷20年=3.6%」 →『3.6%で20年間複利で運用』すれば資産が2倍に
② またインフレによってお金の価値が何分の一になるのかも計算も可能です。
<毎年物価が2%上昇していった場合>
「72÷2%=36年」 →36年後には「今の資産が1/2」の価値に
日本は長い期間デフレの中にいました。お金の価値は下がることはない、そういう環境に長い期間放置されました。「モノの値段」が下がり「賃金も上がらない」、「景気も上向かない」、この悪循環からやっと脱却し、日本はインフレの世界に戻りました。このインフレからはすぐに抜け出すことはできず、その間には狂乱物価の再現、ハイパーインフレの可能性も十分に考えられます。
今後、私たちは「インフレから資産を守っていかなければならない」、そういう時代に入りました。
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