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今後の日本経済――円安・インフレの先にある「日本のゴールデンエイジ」

2026年6月2日掲載

現在、日本には多くの経済的課題が溢れています。止まらない円安、続く人手不足、原材料価格の上昇、物価の高騰。そして久しぶりの「インフレ」。 これだけを聞くと悲観的に見えますが、企業経営や株式市場という観点では、むしろ追い風になる要素も少なくありません。マーケット視点から見ると、これまでとは全く異なる景色が見え始めています。

日本は今、大きな構造変化の入口に立っているのかもしれません。長らく日本経済を覆ってきた「失われた30年」という言葉が、現実味を失いつつあります。

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止まらない円安、その本当の原因

円安の原因として、多くの人は日米金利差を挙げます。確かにそれは事実です。

しかし現在の円安は、単なる金利差だけでは説明できない構造的な要因が複数存在しています。

まず、日本はエネルギー資源の大部分を輸入に依存しています。原油、天然ガス、石炭などを海外から購入するため、日本企業は常に円を売ってドルを買う必要があります。

さらに近年深刻化しているのが「デジタル赤字」です。クラウドサービス、ネット配信、AIサービス、ソフトウェア利用料など、日本企業が海外の巨大IT企業へ支払う金額は莫大です。

加えて「新NISA」の影響も見逃せません。開始以降、多くの個人投資家がS&P500や「オルカン」へ資金を投入しています。これらの商品は海外株を購入するため、運用会社は外貨を買う必要があります。

現在の円安は、以上の複数の要因が、重なった結果なのです。

一時的な円安ではなく、「円を売る圧力が常に存在する経済構造」が出来上がりつつあるのです。

日本はデフレから「インフレ」の時代へ

30年間のデフレに浸っていたため、日本人の多くはまだ「インフレ」に慣れていません。しかし状況は明らかに変わりました。スーパーへ行けば食品価格は上昇しています。外食も値上げが続いています。ホテル代も高騰しています。背景には複数の要因があります。

第一が前述の円安です。

輸入価格が上昇し、企業はコスト増加を価格転嫁せざるを得なくなっています。

第二が常態化する人手不足。

日本の労働人口は減少しています。建設、介護、物流、飲食、ITなど、あらゆる業界で人材不足が深刻化しています。企業は人材確保のため賃金を引き上げざるを得ません。

第三に原材料価格です。

世界的なエネルギー需要の増加、地政学リスク、物流コスト上昇などにより、企業の調達コストは高止まりしています。

 そして最も重要なのは「企業側の意識変化」です。かつての日本企業は、価格を上げることを極端に恐れていました。しかし現在は違います。値上げをしても消費者が受け入れるケースが増えています。つまり企業は価格転嫁が可能になり始めているのです。

「インフレ」は単なる一時現象ではなく、日本経済の新しい常態になりつつあります。

企業業績はなぜ好調なのか

「インフレ」というと、多くの人は「企業も苦しくなる」と考えます。

しかし実際には、一定の「インフレ環境」は企業収益を押し上げる側面があります。理由は単純です。価格が上がれば売上高も増えるからです。例えば100円の商品が110円になれば、販売数量が変わらなくても売上は10%増えます。

さらに円安は輸出企業にとって追い風になります。海外で稼いだ利益を円換算すると利益が膨らむからです。

実際、日本企業の利益は過去最高水準に達しています。

 また、人手不足は一見マイナスに見えますが、企業のDX投資や自動化投資を加速させています。日本企業は長年先送りしてきた効率化を迫られています。結果として生産性向上が進み、利益率改善につながる可能性があります。もちろん全ての企業が恩恵を受けるわけではありません。中小企業の中には、人件費や原材料高に耐えられない企業も存在します。しかし企業全体で見れば、「インフレ環境」は必ずしも悪いものではないのです。

G7で鮮明になる米欧の温度差、日本に訪れるチャンス

話題は変わりますが、G7首脳会議が615日~17日フランスのエビアンで開催されます。

今回の会議で注目されるのは、イランの問題でも中国の問題でもありません。むしろアメリカと欧州の関係がどこまで修復できるのかです。

近年、トランプ政権は「アメリカが世界の負担を背負い過ぎている」との不満を繰り返し表明しています。世界経済の生命線ともいえるホルムズ海峡の安全確保について、アメリカは同盟国に対してより積極的な関与を求めてきました。しかし欧州諸国の対応は限定的で、アメリカから見ると十分な協力が得られているとは言い難い状況が続いています。

トランプ大統領は以前からNATO加盟国の防衛負担や安全保障への姿勢に不満を示しており、この問題もその延長線上にあります。つまり現在の米欧関係には「大きな溝」があり、その中で存在感を高めているのが日本になります。

かつては日本が欧米の間で存在感を発揮する場面は限られていました。しかし現在は状況が異なります。アメリカと欧州の関係が揺らぐ中で、日本は双方から必要とされる数少ない先進国となりつつあります。

日本が「西側陣営の最大の受益者」になる可能性が高く、まさに日本は「漁夫の利」を得ることになります。

結論――日本マーケットの好調は続くのか

今後の日本経済を考えるうえで重要なのは、「デフレ時代の常識」で未来を見ないことです。「インフレ」になった日本では、円安の構造的な継続、人手不足、原材料価格の高止まり、物価上昇など暗い側面が語られがちです。

しかし裏を返せば、企業の売上は名目成長し、企業利益は拡大、賃上げは継続されていく。そして「インフレ」はあらゆるモノの値段を上げることになりその中には「株価」も含まれます。

また地政学的に、すぐに大きなリスクは見つからず、世界からの投資「日本買い」が続く可能性は高いです。もちろん一時的な調整局面もあるでしょう。しかし大きな視点で見れば、日本は30年続いたデフレ経済から脱却し、名目成長の時代へ移行しつつあります。その意味では、日本経済は今、歴史的な転換点に立っています。これまでの停滞期とは異なる環境が生まれつつあることは間違いありません。

「日本のゴールデンエイジ」の到来。

1990年代以降、日本人は「デフレが当たり前」「給料は上がらない」という時代を生きてきました。しかし現在起きているのは、その常識の変化です。物価上昇は生活者にとって負担ですが、経済全体で見れば名目成長を生み出します。企業は値上げし、賃金を上げ、設備投資を行い、利益を増やす。まさに日本経済は「縮小均衡」から「成長均衡」へ移行しようとしています。

もちろん未来を断定することはできません。しかし、日本が再び成長する国になる可能性は、過去20年で最も高まっていると言えるのではないでしょうか。

 

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