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証券新報 2013号

「公社債等の大幅な税制変更」 ポートフォリオを見つめ直す機会?02平成28年1月より特定公社債等の税制が大幅に変更される。対象となる「特定公社債等」とは円建・外貨建の公社債およびMMF・MRFなどの公社債投信のことで、来年から譲渡益・償還差益・利子・分配金の課税方式が株式や株式投資信託と同様に申告分離課税(20.315%)となり、株式等との損益通算や譲渡損失の3年間の繰越控除の利用も可能になる。また特定口座に組入れて管理できるようになるのも大きな変更点と言える。この大きな変更を機会に、現在保有している公社債等の損益や証券口座の状況をチェックしてみてはいかがだろうか、今年のうちに検討できる主なポイントは以下の通りである。■公社債「利付債」および利付債として扱われる「ディスカウント債(※2)」は、現行では売却による譲渡益が非課税となるため(外貨建の場合円換算で)含み益がある場合、年内の売却も検討できると思われる。継続して保有するつもりの場合でも、年内に一度売却して直ちに再買付する「クロス取引」(この場合も非課税譲渡)を行うという選択肢がある(※3)。クロス取引以降は、再取得した価格が取得価格となる。利付債などの譲渡損は現在の税制では「なかったもの」とされるため、含み損が出ている場合は来年以降に売却損を確定させることにより株式・株式投信との損益通算に利用するという考え方もある。表面利率が無く割引形式で発行される「ゼロクーポン債」の譲渡益については現在総合課税の対象となっている。50万円までの特別控除などがあるが、それを超える利益は給与所得などと合算した総合課税となるため、所得の額などで人により本年中に売却した場合の税率と、来年からの20.315%のどちらが低率か異なってくるので注意が必要である。含み損となっている場合、年内に売却して発生した損は総合課税扱いの他の所得と通算でき、また来年以降に損を確定させた場合は利付債等と同じ「特定公社債等」として扱われるので株式・株式投信と損益通算できる。■MMFなどの公社債投信円建MMF・MRF等は原則1口=1円なので売却損益は発生しないが、外貨建MMFにおいて為替差益を含む売却益が発生した場合、年内までは非課税だが平成28年より20.315%の申告分離課税となる。為替部分に含み益のある外貨建MMFについては年内に一度売却し今後の為替見通しから改めて購入するか検討するのも手であると思われる。■特定口座個人の場合、保有の公社債やMMF等を特定口座に組入れる(※4)ことで、税金の申告・納税手続きが簡易に行えるようになる。例えば、平成28年以降は利付債等の譲渡益が課税となるので確定申告が必要になるが、「源泉徴収あり」の特定口座に組入れておけば、特定口座内での損益通算が自動で行われ納税まで完了するため確定申告は基本的に不要となり便利である。これまで、特定口座の対象外であった公社債やMMFを中心に取引していた場合、特定口座の開設を失念している場合もある。証券会社の口座に特定口座が開設されているか早めに確認しておくといいだろう。■ご注意当記事は来年の税制変更についてお知らせするものであり、特定の売買を勧めるものではありません。また、実際の納税に関して詳しくは所轄の税務署等にお問い合わせください。(※1)現行ではMMF等の償還時の元本超過部分は利子所得として課税(外貨建の場合の為替差益は非課税)。(※2)一定条件の低い利率で、割引価格により発行されたもの。(※3)クロス取引を行った場合、売買の価格が異なり差額費用が発生する場合があります。なお当社での取扱は現在準備中です。(※4)当社での特定公社債等の特定口座への組入れについては現在準備中です。現行(平成27 年) 平成28 年1 月から