ブックタイトル証券新報 2006号
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証券新報 2006号
来年から始まる「マイナンバー制度」について内閣府が行った世論調査では、マイナンバーについて内容まで知っていた人は3割弱にとどまったという結果が2月に発表された。「国民の7割が知らない」ことはメディアで報道されたが、肝心の「マイナンバーが何なのか」についてはあまり広く報道されていないのが現状のようだ。「マイナンバー制度(社会保障・税番号制度)」とは、平成28年から始まる住民票を有する全ての人に1人に1つ12桁の番号を付することで効率的な情報管理を可能にしようとするもので、マイナンバーで紐付けすれば複数の機関に存在する情報が同一人物のものであることが確認できるようになるため、行政手続の簡素化や公平な租税徴収と社会保障・災害対策分野などでの活用が期待できるという。(ちなみに法人にも13桁の番号が付される予定となっている。)今年の10月頃から年末にかけて、各個人に付されたマイナンバーを通知する「通知カード」が郵送される予定となっており、同封の申請書を返送するなどの手続きを行えば年明け以降に市区町村の窓口で「個人番号カード」を受け取ることができる。個人番号カードは本人確認のための身分証明書として使用することが可能(通知カードでは不可)で、また個人番号カードを使用して認証を行う「マイポータル」というサイトでインターネット上から行政機関が保有する自分の情報や、各種社会保険料の支払額、確定申告を行う際に参考になる情報等の入手ができるようになる予定である。このマイナンバー制度の開始に伴い、民間企業は待ったなしの対応を迫られている。個人への支払い等に係る行政機関への提出書類(支払調書など)にも支払対象の個人のマイナンバー記載が求められるようになるため、給与を支払う従業員だけでなく、例えば店舗が借りている駐車場の個人事業主やセミナー講師のギャラに至るまで、支払を行う際には個人のマイナンバーを収集する必要が生じる。マイナンバー収集の際には重ねて本人確認の手続も行わなくてはならないため、業務負荷の増大に頭を悩ませることになりそうだ。大きな企業では、そもそもどの部門で個人への支払が発生しているのか把握・整理するだけでも一苦労だろう。金融機関等ではさらに大規模な対応が必要となる。例えば証券会社や保険会社では法定調書の多くにマイナンバーの記載が必要となるので、新規はもとより既存の顧客もほぼ全員からマイナンバーの収集をする必要がある。これには3年間の経過措置があるものの、計画的に収集を進められなければ取引・契約の継続が困難となる顧客が大量に発生してしまう可能性もあるのだ。さらに、マイナンバーの収集とその管理体制の構築は容易ではない。マイナンバーは一度付されると原則一生変更されない個人を特定する番号なので、収集したナンバーは法で定められた目的以外の使用を禁止されており、厳重な保管および利用目的が無くなった時点で破棄するように更新管理しなくてはならず、情報の漏洩等があった場合には重い罰則が設けられている。自社でマイナンバーを収集してしまうと、収集した責任として上記のような管理体制が求められるため、多くの民間企業にとってマイナンバーは「なるべく触れたくない・手元に置きたくない」存在であると思われる。そんな中、マイナンバー関連業務の導入コンサルティングや、マイナンバー収集の段階から管理まで請け負う代行業務、クラウドを利用して自社内にマイナンバーを保管せずに済む会計システム等、民間企業のマイナンバー対応へのニーズを汲み取ったサービスに名乗りを上げる企業が続々と出始めている。現在は「マイナンバー関連銘柄」と言えば官公庁や地方自治体のシステム構築・情報セキュリティ関連が注目されがちだが、民間企業のマイナンバーへの対応が現実味を帯びてくる時期になると「マイナンバー関連」と呼ばれる業種の裾野は想像以上に広がっている可能性がある。民間企業も対応避けられぬ「マイナンバー制度」02