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証券新報 2005号

国際会計基準の適用企業数の推移 国際会計基準を適用する企業が増加している。2013年12月末に24社だったが、年内には100社を超す見通しという。日本では、「アイファース」(IFRS)などと呼ばれ、2010年3月31日以後終了する連結会計年度より、国際会計基準の任意適用を開始した。日本基準は将来、損失が発生しそうなリスクをできるだけ織り込もうとするのに対して、国際会計基準は時価重視のため、実態に即した会計処理を優先している。 適用企業が増えている背景には主に二つあり、一つ目は、豊富な手元資金を有する日本企業による海外企業のM&A(合併・買収)が活発化していることがある。会計基準を世界標準に合わせることにより、グローバルな事業展開を円滑に進めることができる。また、食品や小売り、外食、医薬品などの内需型企業も国内市場の縮小が避けられない中、海外に進出していく例が目立つため同様のことが言える。もうひとつの背景として、海外の投資マネーの圧力もあるという。海外投資家は日本の上場企業株式のおよそ3割を保有しており、投資判断のために比較しやすい国際基準の導入を求めることが多い。実際、国際基準に移行する企業は海外投資家の保有率が高い傾向にある。ただ、国内上場企業のおよそ9割が日本基準であることから、投資家は国際会計基準を適用する企業との比較がしにくくなる。 日本基準との相違点の代表的なものが「のれん代」である。日本基準では毎期、費用として計上するが国際会計基準はしない。よって、M&Aを活用する企業にとって費用計上が不要になる分だけ利益を押し上げる要因になる一方、買収した企業の資産価値が大きく下落したときには、損失が発生する可能性がある。国際会計基準の適用企業が増加02