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証券新報 2002号

米国雇用統計(出所は米国労働省)米国労働省が2月6日に発表した1月の雇用統計によると、失業率が前月から0.1ポイント上昇の5.7%となった一方、非農業部門の雇用者数が前月比25万7千人の増加と事前の市場予想である23万人程度を上回る結果となった。また、11月分の増加幅が速報段階の35万3千人から42万3千人に、12月が同25万2千人から32万9千人に上方修正され、米国の雇用情勢が順調に改善していることが確認された。失業率が上昇したのは景気の強さを背景に求職者が増加したためと考えられており、むしろ雇用情勢の力強さを反映したものと捉えられている。今回の結果を受けて金融市場では、米国の利上げ開始時期が早まるとの観測も浮上、長期金利が上昇し、円売り・ドル買いが進んだ一方、株式市場は軟調な展開となった。このところの米国では、景気の伸び悩みを示す経済指標が相次いでいたため、今回の雇用統計は通常以上に注目が集まっていた。原油価格の下落などを背景にインフレ率が低下しているところに雇用情勢が弱い内容になれば、長期金利が一段と低下し、ドル安が進む懸念があったが、結果は雇用情勢の力強さを確認する内容となり、金融市場に安心感が広がった格好となった。米国では量的緩和第3弾(QE3)をすでに終了、金融政策の正常化に向けた歩みを始めており、FRB、金融市場関係者とも利上げ時期を模索する段階となっている。市場では年半ばにも利上げを開始するとの見方が大勢となっているが、雇用情勢が順調に改善していることが裏付けられた一方、インフレ率が低水準となっていることなどからFRBのイエレン議長は利上げに慎重な姿勢を崩しておらず、今回の結果を受けてどのような舵取りを見せるかが注目されるものと思われる。米国の雇用情勢が順調に改善02非農業部門雇用者数の増減(左目盛り:千人) 失業率(右目盛り:%)