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証券新報 1999号

平成27年1月1日発行貿易収支が改善2貿易収支(月次ベースで単位は億円、出所は財務省)財務省が12月17日に発表した貿易統計速報によると、11月の貿易収支(輸出額-輸入額)は8918億円の赤字(輸入超)となった。赤字となるのは2年5カ月連続で、今年1月から11月までの赤字額の累計が12兆1151億円と暦年ベースで過去最大だった2013年1年間の11兆4683億円をすでに上回る結果となったが、10月が前年同月比33.0%減、11月が同31.5%減と2カ月連続で3割以上の改善となっており、こうした改善傾向が続くかどうかが注目されるものと思われる。11月の貿易収支が前年同月比で改善となったのは、輸出額が同4.9%増となった一方で輸入額が同1.7%減となったためである。輸出は数量ベースこそ同1.7%減と減少となったものの、円安が進んだ効果から金額ベースで伸び、地域別ではアジア、米国向け、品目別では電子部品や液晶デバイスなどが伸びた。輸入は円安が進む一方で原油価格の下落から原油の輸入が金額ベースで大幅に減少、貿易赤字拡大の主因であった原燃料輸入額の増加に歯止めがかかり、貿易収支改善に寄与した。原油価格は足元で一段と下落しており、需要期となる冬場に向けて貿易収支の更なる改善につながる可能性があり、注目されるものと思われる。ただ、貿易収支に改善傾向が見られるようになったとはいえ、原油価格が下落した影響が大きく、原油価格が上昇に転じれば、再び赤字が拡大する可能性は否定できないものと考えられる。また、円安効果があるにもかかわらず、輸出数量が増加しにくい傾向にも目立った変化は見られておらず、引き続き、こうした経済構造を前提とした貿易体質の改善に向けた取り組みが求められるものと思われる。