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証券新報 1998号

平成26年12月15日発行米国の雇用情勢が改善傾向強める2米国雇用統計(出所は米国労働省)米国労働省が12月5日に発表した11月の雇用統計によると、失業率が前月と同水準の5.8%となった一方、非農業部門の雇用者数が前月比32万1千人の増加と事前の市場予想である23万人程度を大きく上回る結果となった。また、9月分の増加幅が速報段階の25万6千人から27万1千人に、10月が同21万4千人から24万3千人に上方修正され、米国の雇用情勢が改善傾向を強めていることが鮮明となった。雇用の改善が非正規雇用の増加に支えられている側面もあり、実態はやや力強さに欠ける内容となっているものの、今回の結果を受けて金融市場では、米国の利上げ開始時期が早まるとの観測から長期金利が上昇し、円売り・ドル買いの流れが加速、株式市場も堅調な展開となった。米国ではGDP(国内総生産)の約7割を個人消費が占めているため、個人消費に直接影響を与える雇用情勢を政府、FRB(連邦準備理事会)ともに重要な政策課題と位置付けており、その動向は世界的な注目を集めている。今回の発表により、正規雇用の伸びが鈍いなどの課題を抱えながらも米国の雇用情勢が改善傾向を強めていることが確認され、これが金融政策にどのような影響を与えるかが注目されることになるものと思われる。米国では量的緩和第3弾(QE3)をすでに終了、金融政策の正常化に向けた歩みを始めており、FRB、金融市場関係者とも利上げ時期を模索する段階となっている。雇用情勢がなお課題を抱えているほか、インフレ率が低いことなどからFRBのイエレン議長は利上げに慎重な姿勢を崩していないが、今回の結果を受けてどのような舵取りを見せるかが注目されるものと思われる。