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証券新報 1997号

平成26年12月1日発行7-9月期のGDPがマイナス成長に2実質GDP成長率(四半期ベースの前期比年率・%、出所は内閣府)内閣府が11月17日に発表した7-9月期の国民経済計算(GDP統計)1次速報によると、物価変動の影響を除いた実質GDP成長率が前期比年率マイナス1.6%と2四半期連続でマイナス成長となった。民間最終消費支出が前期比プラス0.4%と低い伸びにとどまったほか、民間住宅投資が同マイナス6.7%、民間企業設備投資が同マイナス0.2%といずれもマイナスとなったことなどが響いた。マイナス成長となった背景には夏場の天候不順で個人消費が盛り上がりを欠いた側面があり、足元では回復の芽も出始めているが、2四半期連続のマイナス成長に陥ったことでアベノミクスへの信認が揺らぎ、金融市場で円安、株安が進行した。その後は安倍首相が消費税率引き上げの見送りと衆議院の解散、総選挙に踏み切る意向を表明したことで落ち着きを取り戻し、日米金利差の拡大を見越して円安が進行、輸出企業の業績拡大期待などから株価も持ち直している。今回発表された7-9月期のGDPは、来年10月に予定されていた消費税率の引き上げに向けた重要な判断材料と位置付けられていたため、通常よりも注目されていた。大半のエコノミストが小幅ながらプラス成長を予想していた中で結果が前述の通り、マイナス成長となったため、金融市場にショックが走った格好となった。マイナス成長となった背景には4月の消費税率引き上げと円安に伴う物価高が挙げられるが、夏場の天候不順も大きく影響しているものと考えられ、消費税率引き上げ見送りの判断は早計との見方もある。ただ、アベノミクスの継続や消費税率引き上げ見送りの判断などを争点に衆議院の解散・総選挙が実施されることは決定しており、今後は国民がどのような審判を下すかが注目されるものと思われる。