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証券新報 1996号

平成26年11月15日発行日銀が追加金融緩和を実施2長期金利(10年国債利回りで単位は%)日本銀行は10月31日に開催した金融政策決定会合で追加金融緩和を決定した。消費増税後の景気回復の足取りが鈍く、物価上昇率が縮小してきていることに対応、資金供給量を年10~20兆円増やして80兆円に拡大するほか、長期国債の買い入れを30兆円増加させて80兆円に、ETF(上場投資信託)とREIT(不動産投資信託)の買い入れ規模をこれまでの3倍とする。会合後に記者会見した黒田総裁は、「デフレマインドからの転換が遅れる懸念があり、デフレ脱却への正念場」と判断、今回の追加緩和でデフレ脱却への揺るぎない決意を示した。今回の金融政策決定会合は、2日間開催される会合とは異なる1日のみの開催で、「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)を公表する会合であったことから、金融政策が変更される可能性は低いと考えられていた。また、黒田総裁がデフレ脱却への自信を示す発言を繰り返していたことからも金融政策の現状維持を予想する向きが大半の状況となっていた。したがって、今回の決定はサプライズと受け止められ、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が運用方針の見直しを正式発表したことも手伝って株価が急伸し、円安が進行、こうした現象はその後の海外市場にも波及した。今回の決定により、株式市場が一転して活況を取り戻すなど足元では好影響が出ているものの、原燃料を輸入に頼る日本経済にとって円安の進行は、輸入物価の上昇を通じて悪いインフレをもたらすリスクがあり、金融政策への過度の依存を問題視する向きは多い。政府が3兆円規模の経済対策を打ち出す方向で検討している模様で、今後は政府が打ち出す景気刺激策に注目が集まるものと思われる。