ブックタイトル証券新報 1995号
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証券新報 1995号
平成26年11月1日発行2014年度上半期の貿易赤字が過去最大に2貿易収支(年度ベースで単位は億円、2014年度は上半期のみ、出所は財務省)財務省が10月22日に発表した貿易統計速報によると、2014年度上半期(4月-9月)の貿易収支(輸出額-輸入額)は5兆4270億円の赤字となった。年度上半期としては2013年度を上回り、過去最大の赤字となったが、下半期を含めた半期ベースで見ると、2013年度下半期(10月-3月)の8兆7592億円からは改善となった。上半期として最大の赤字額となった要因は引き続き火力発電用燃料が高水準で推移しているうえ、円安で輸入額が膨らんだためであり、2013年度下半期から改善となった要因はアジア向けに電子部品などの輸出が増加したことで、アジア向けの貿易収支が赤字から黒字に転換したためである。同時に発表された9月の貿易収支は9583億円の赤字と前年同月比1.6%増となった。輸出数量が2カ月ぶりに増加したことを背景に輸出額が同6.9%増となった一方、LNGなど火力発電用燃料や携帯通信機器の輸入が増えたことなどにより、輸入額が同6.2%増となったためである。アジア向け電子部品などの輸出に復調の兆しが見える一方、生産拠点の海外移転や欧州の景気減速などを背景に欧米向けの輸出が停滞しており、円安にもかかわらず、輸出数量の伸びが鈍い状況が続いている。海外経済の景気減速はいずれ解消される時期が来るものと思われる一方、生産拠点の海外移転は円高局面における為替対応から、消費地の近くで生産する「現地生産化」に背景が変化しており、円安でも傾向は変わらないと考えられている。したがって、貿易収支は当面、高水準の赤字が続くものとみられており、こうした産業構造を前提とした経済政策の運営が求められるものと思われる。