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証券新報 1993号

平成26年10月1日発行上場企業の自社株買いが高水準に2事業法人の売買動向(単位は億円でプラスが買い越し、出所は東京証券取引所)今年度上半期(4月から9月まで)に自己株式の取得枠を設定した企業がリーマン・ショックの局面にあった2008年度上半期以来の規模となるなど上場企業が自己の株式を取得する自社株買いが高水準となっている。今年度上半期はNTTやキヤノンなど定期的に自社株買いを実施する常連組に加えて東レが初めて、三菱商事が7年ぶりに自己株式の取得枠を設定、取得枠が高水準となる要因となっている。取得枠のすべてが今年度上半期に消化されるわけではないが、東京証券取引所が公表している投資主体別売買動向で自社株買いが含まれる事業法人の売買動向を見ると、年初から9月第2週までで5600億円強の買い越しとなっており、自社株買いが株価の下支えに一定の役割を果たしていることがうかがえる。上場企業が自社株買いを増やしている背景には、潤沢な手元資金で株主配分を厚くし、同時に資本効率を高める狙いがある。自己株式は1株当たり指標の計算上、発行済み株式数から除外されるため、1株当たり指標の改善につながるほか、自己資本当期利益率(ROE)など資本効率を高める効果がある。株主配分の強化や株式需給の改善にもつながるため、自社株買いのメリットは大きいと考えられている。資本効率の向上は政府の成長戦略で中核に位置付けられるなど注目度が高まっているほか、米国株式市場でニューヨークダウなどが史上最高値を更新した要因の一つとして自社株買いが挙げられており、今後上場企業が株主配分や資本効率の向上に対してどのように取り組むか、その動向が注目されるものと思われる。-1000-50005001000150020002014 年1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月