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証券新報 1990号

平成26年8月15日発行米国経済の回復基調が鮮明に2米国の実質GDP(四半期ベースで単位は前期比年率・%、出所は米国商務省)米国商務省が7月30日に発表した2014年4-6月期の実質国内総生産(GDP、季節調整済み)の速報値は前期比年率4.0%増となり、記録的な寒波の影響などでマイナス成長に陥った1-3月期から持ち直し、米国経済が順調に回復していることを裏付ける内容となった。また、1-3月期のGDPが今回の改訂で従来の同2.9%減から2.1%減に上方修正されており、米国経済の底堅さを示しているものと考えられている。4-6月期については1-3月期の反動から3%程度の成長が見込まれていた。結果は前述の通り、予想を上回る成長率を達成、GDPの約7 割を占める個人消費が順調に回復したほか、民間設備投資や輸出の復調が鮮明となり、成長のけん引役となった。こうした結果を受けて金融市場では早期利上げ観測が台頭、長期金利が上昇し、ドル高が進行、株式市場は調整色を強める展開となった。その後は雇用統計の発表やインフレ指標、地政学リスクの高まりなどを背景に長期金利、為替相場とも落ち着いた状況となっているものの、早期利上げ観測が後退したわけではなく、長期金利やドル相場が上昇しやすい環境になっているものと思われ、景気への影響を懸念する見方も出ている。米国の中央銀行であるFRB(連邦準備理事会)は現在、量的金融緩和第3弾「QE3」の段階的な縮小を着実に進めており、年内にも終了させる情勢となっているものの、利上げへの政策転換に関してはなお慎重な姿勢を崩していない。労働市場で賃金の伸びが鈍いことや住宅市場が調整色を強めていることなどが背景になっているものと思われるが、米国経済の回復基調が鮮明になっている状況が確認されたことで、金融政策の正常化に向けてFRBが今後、どのような舵取りを見せるかに注目が集まるものと思われる。