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証券新報 1989号

平成26年8月1日発行貿易収支が24カ月連続赤字に財務省が7月24日に発表した6月の貿易統計(通関ベース、速報)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は8222億円の赤字となった。赤字は24カ月連続で、同時に発表した2014年上半期(1-6月)の貿易収支は7兆5984億円の赤字と上半期としては過去最大となった。引き続き、火力発電用燃料であるLNG(液化天然ガス)などの輸入が高水準で推移しているほか、円安にもかかわらず、輸出が伸び悩んでいるためで、当面は高水準の赤字が続くものと考えられている。6月の輸入額は前年同月比8.4%増となった。消費増税後の反動減から伸びが鈍るとの見方もあったものの、前述のように火力発電用燃料の輸入増加を主因に増加する結果となった。一方、輸出額は同2.0%減と2カ月連続で前年実績を下回った。生産拠点の海外移転が進んでいる構造的な要因に加え、新興国の景気減速の影響などから減少となった。今後については米国経済を中心に海外経済が緩やかな回復に向かい、輸出が増加するとの期待や、原子力発電所の再稼働が見込める状況となったことなどから貿易収支が改善に向かうとの見方もあるものの、生産拠点の海外移転により、円安でも輸出が伸びにくい構造となっているほか、原子力発電所の再稼働に関しては九州電力川内原子力発電所の再稼働が見通せるのみとなっており、貿易収支の改善につながるか、依然として不透明な状況は変わっていないものと思われる。貿易収支の悪化を背景に経常収支も赤字体質が定着しつつあり、財政赤字のファイナンスを海外に依存する経済構造に陥る懸念がある。したがって、貿易収支の改善に向けた取り組みが急務となっているものと思われる。2貿易収支(単位は億円で月次ベース、出所は財務省)