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証券新報 1988号

平成26年7月15日発行米国雇用情勢が改善傾向強める米国労働省が7月3日に発表した6月の雇用統計によると、失業率が前月比0.2ポイント低下の6.1%、非農業部門雇用者数が同28万8千人の増加となった。失業率が金融危機に見舞われた2008年9月の水準まで低下したほか、非農業部門雇用者数の増加幅が事前の市場予想である約21万人を大きく上回り、4月分が速報段階の28万2千人増から30万4千人増に、5月分が同21万7千人増から22万4千人増に上方修正されたことから、米国の雇用情勢が回復のペースを速めていることが確認される内容となった。米国連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長は、雇用情勢の動向を慎重に見極める意向を明らかにしているが、改善傾向が一段と強まる内容となったことで、今後どのような舵取りを見せるかが注目されるものと思われる。米国の雇用情勢は昨年12月以降、記録的な寒波の影響などから改善ペースが衰え、寒波の影響を脱した4月以降も賃金の伸びが鈍いなど力強さに欠ける状況となっていた。こうしたことがイエレン議長の慎重な見方につながっていたものと思われるが、今回の発表により、非農業部門雇用者数の増加幅が雇用情勢の持続的な改善につながるとされる20万人を5カ月連続で上回るなど力強さを取り戻したことが確認され、金融緩和策の出口を巡る議論が活発になるものと想定される。FRBは現在、量的緩和策「QE3」の段階的縮小を進めており、年内にもこれを終了させる見通しとなっているが、ゼロ金利の解除から利上げに関しては慎重な見方を示している。今回の結果が金融政策を巡る議論にどのような影響を与えるか、FRBがどのような舵取りを見せるかが注目されるものと思われる。2米国雇用統計(出所は米国労働省)