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証券新報 1987号

平成26年7月1日発行新成長戦略を発表政府は6月24日に臨時閣議を開催し、新しい成長戦略と骨太の方針(経済財政運営と改革の基本方針)を決定した。成長戦略は大胆な金融緩和、機動的な財政出動とともにアベノミクスの「三本の矢」を構成するもので、文字通り、経済を本格的な成長軌道に乗せる戦略である。昨年6月に第一弾として「日本再興戦略」を策定したものの、当時は株式市場の失望売りを誘うなど踏み込み不足との評価を受けており、今回はその改訂版との位置付けになっている。新成長戦略のポイントは、日本が競争力を取り戻すための法人税改革や企業統治、公的年金の運用改革、人口減少や少子高齢化に伴う労働力不足への対応、雇用や医療、農業など岩盤規制の改革、原子力発電所の再稼働や発送電分離などのエネルギー政策、外国人観光客の誘致促進などで、昨年まとめられた「日本再興戦略」よりも踏み込んだ内容となっている。特に法人税改革と岩盤規制の改革を盛り込んだ点は高く評価されるものと思われ、今後は実行力が問われることになるものと思われる。足元の日本経済は、大胆な金融緩和がもたらした株高と円安、機動的な財政出動の下支えによってデフレからの脱却が進み、企業収益の回復が雇用の拡大や所得の上昇、設備投資の増加などに結びつく好循環が生まれつつある。これを持続的な成長につなげて本格的な成長軌道に乗せるのが新成長戦略で、今後は実行段階に入ることとなる。法人税改革には代替財源や負担増が見込まれる中小企業対策、岩盤規制には改革への根強い抵抗があり、実行に向けての課題はなお多いものと思われる。ただ、日本経済が活力を取り戻すかどうかは新成長戦略にかかっており、安倍首相のリーダーシップが期待されるものと思われる。2実質GDP成長率(単位は前年比・%、2014年以後は予想、出所はIMF)