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証券新報 1986号

平成26年6月15日発行消費者物価が3.2%上昇総務省が5月30日に発表した消費者物価指数によると、4月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く総合)は前年同月比3.2%の上昇となった。日本銀行が消費税率引き上げの影響を1.7ポイント程度と試算しているため、この影響を除くと実質的には同1.5%の上昇となり、3月の上昇率が同1.3%の上昇だったことと比較すると税率引き上げの影響を除いて0.2%上昇したことになる。増税分を超えて消費者物価が上昇した背景には、政府が増税分の値引きセールを禁じたことや、中小企業に対して価格転嫁の状況の監視を強めたこと、これまで進んでいなかった原材料高の価格転嫁が進んだことなどが挙げられる。原材料高の価格転嫁は今後も進む見通しで、消費者物価指数は当面、前年同月比3%程度の上昇が続くものと見込まれている。原材料高の価格転嫁が進んでいる背景には、デフレ経済下で原材料高の価格転嫁を抑えてきた企業の値上げへの抵抗感が薄れた点が挙げられるものと思われる。抵抗感が薄れたのは、日本銀行による異次元の金融緩和で物価の上昇基調が定着し、自助努力で値上げを抑えることが厳しくなりつつあったところに消費税率の引き上げが重なったことに加えて、消費者の側にも価格転嫁への理解が進んでいる点が挙げられる。前述のように今後も原材料高を背景とした値上げが進む見通しで、2%の消費者物価上昇率を目標に掲げる日本銀行の金融政策にどのような影響を与えるかが注目されるものと思われる。上昇基調が定着したとはいえ、消費者物価指数の上昇率が実質2%を下回っている状況にあるほか、エネルギー価格上昇の影響が大きいものとみられており、今後の動向が注目されるものと思われる。2全国消費者物価指数(生鮮食品を除く総合、単位は前年同月比:%、出所は総務省)