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証券新報 1985号

平成26年6月1日発行貿易赤字が1年8カ月ぶりに改善財務省が5月21日に発表した4月の貿易統計(通関ベース、速報)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は8088億円の赤字となった。1年10カ月連続で貿易赤字となった一方、前年同月比で見ると赤字額は7.8%減となり、1年8カ月ぶりの改善となった。輸入額の伸びが前年同月比3.4%増にとどまった一方、輸出額の伸びが同5.1%増となったためで、消費増税前の駆け込み需要の反動で輸入の伸びが抑えられたことが最大の要因と考えられる。改善したとはいえ、一時的な要因とみられるほか、貿易収支の赤字体質そのものは続いており、赤字体質の改善に向けてどのような施策を打ち出すかが課題になるものと思われる。4月の輸入額は前述のように前年同月比3.4%増となった。火力発電用燃料となるLNGなどが引き続き増加した一方、駆け込み需要の反動などから輸入数量が同1.3%減となり、円安を反映した輸入額の伸びが低水準にとどまった。輸出については欧米向けに自動車や自動車部品、中国向けに液晶パネルなどが伸びて輸出数量が同2 .0%増と2カ月ぶりに増加、円安効果を加味した輸出額は同5.1%増となった。ただ、生産拠点の海外移転が進んでいることなどを背景に、円安にもかかわらず、輸出が伸びにくい構造となっており、貿易赤字の最大の要因である火力発電用燃料の輸入が高水準で推移している点も改善されておらず、高水準の貿易赤字が続く背景となっている。今年度は消費増税の反動などがあって貿易収支の改善が見込まれているものの、貿易赤字を背景に経常収支も赤字体質が定着しつつあり、貿易収支の改善に向けた取り組みが急務となっているものと思われる。2貿易収支(単位は億円で月次ベース、出所は財務省)