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証券新報 1984号

平成26年5月15日発行米国の雇用情勢が大幅に改善米国労働省が発表した4月の雇用統計によると、失業率が前月比0.4ポイント低下の6.3%、非農業部門雇用者数が同28万8千人の増加となった。非農業部門雇用者数の増加幅は事前の市場予想である約20万人を上回ったほか、2月分の増加幅が速報段階の19万7千人から22万2千人に、3月分が同19万2千人から20万3千人に上方修正されており、失業率が0.4ポイントの改善となったことと合わせ、米国の雇用情勢は安定感を増しているものと考えられている。失業率が低下した背景に労働人口の割合を示す労働参加率が低下したことが挙げられており、求職活動をあきらめる人が増加した結果として失業者に数えられる人が減少した側面があるものとみられるほか、労働者が得る賃金の伸びが鈍いことから、今回の結果を額面通りに受け取ることはできないとの見方がある。一方、非農業部門雇用者数の増加幅が3カ月続けて20万人を超えているのも事実で、雇用情勢が安定感を増しているとの見方につながっている。今回の結果を受けて金融市場では、ニューヨークダウが史上最高値を更新するなど雇用情勢の改善を素直に反映する結果となっている市場がある一方、賃金の回復が鈍いことを背景に低金利政策が長期化するとの見方から長期金利が低水準にとどまったままで、ドル高が進みにくい情勢となっている。金融政策の正常化に向けて、量的緩和の縮小に動き出した米連邦準備理事会(FRB)は、非農業部門雇用者数の増加幅20万人を雇用情勢改善の目安としており、今後どのような舵取りを見せるかが注目されるものと思われる。2米国雇用統計(出所は米国労働省)