ブックタイトル証券新報 1983号
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証券新報 1983号
平成26年5月1日発行2013年度の貿易赤字が過去最大に財務省が4月21日に発表した貿易統計によると、2013年度の貿易収支(輸出額-輸入額、速報値)は13兆7488億円の赤字となり、統計を比較できる1979年度以降では最大の赤字となった。円安により輸出額が前年度比で増加した一方、輸入額の伸びが輸出額の伸びを上回ったためで、輸出数量が微増にとどまっていることなどから当面は貿易赤字が定着するとの見方が広がっている。輸入額が増加した背景には、原子力発電所の停止を補うための火力発電用燃料の輸入が増加したほか、スマートフォンなど情報通信機器の輸入も増加、円安の影響で輸入原材料の円建て価格が上昇したことなどが挙げられている。また、消費増税前の駆け込み需要に対応するための輸入増も2013年度の貿易収支悪化の一因となっている面があるものと思われる。一方、円安にもかかわらず輸出数量が微増にとどまった背景としては生産の海外移転が進んでいることや、欧州、アジアなどの景気減速の影響が挙げられている。円安局面では通常、一時的に貿易収支が悪化し、その後輸出が持ち直して収支が改善に向かう「Jカーブ効果」と呼ばれる現象が起こる。円安によって日本製品の価格競争力が高まり、輸出が持ち直すためであるが、上述したような構造問題を抱えている我が国においては輸出が伸び悩んでおり、貿易収支が改善する兆しが現状では見えない状況となっている。貿易赤字の拡大が続くと経常収支も赤字体質に陥る懸念があり、貿易構造の改善に向けた取り組みや貿易赤字を前提とした政策の立案、実行が求められているものと思われる。2貿易収支(単位は年度、億円、データの出所は財務省)