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証券新報 1981号

平成26年4月1日発行公示地価の下落率が縮小国土交通省が3月18日に公表した2014年1月1日時点の公示地価は、6年連続で前年同期比下落となったものの、下落率の縮小傾向が続いているほか、三大都市圏で住宅地、商業地がともに上昇に転じるなど回復が鮮明となった。回復の背景として国土交通省は、住宅地では低金利、住宅ローン減税等の施策による住宅需要の下支えや景況感の改善による住宅需要の拡大、商業地では低金利や景況感の改善、不動産投資意欲の回復、マンション用地として利用する動き、主要都市中心部等における消費動向の回復やオフィス空室率の改善、耐震性に優れる新築・大規模オフィスに対する需要拡大などを挙げている。ただ、地価の回復には大胆な金融緩和政策や消費増税前の駆け込み需要などが寄与している面があるものと思われるほか、地方では76.1%の地点で下落が続いており、都心部と地方の二極化も鮮明になったと考えられている。今回の公示地価では、アベノミクスによる景気回復や五輪開催決定、再開発の進展などを受けて都心部の地価に先高感が台頭、投資資金が流入して地価を押し上げたほか、東日本大震災の被災三県(岩手、宮城、福島)の回復が特徴的な動きとなっている。全国・全用途の上昇率上位5地点のうち3地点が被災三県に、残りの2地点が名古屋市と川崎市に所在しており、東京圏では湾岸エリアや銀座などの上昇が目立っている。ただ、前述のようにこうした動きは都心部や地方主要都市など一部に限られており、地方では地価反転のきっかけをつかめない地域が依然として多い。短期的には消費増税の反動や金融緩和の副作用など、中期的には少子高齢化に伴う人口減少などが懸念される中、特に地方においては持続可能な街づくりに向けての取り組みが求められているものと思われる。2公示地価の変化率(単位は前年比・%、データの出所は国土交通省)