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証券新報 1980号

5欧州銀行規制と欧州域内国債 ユーロ圏の2013年の第二四半期のGDPが2011年第三四半期以来のプラス成長が発表された昨年の夏以降、欧州債務危機終了に向けて欧州の高債務国の国債利回りは低下傾向となっています。 今年に入り、欧州の高債務国の国債利回りは一段と低下してきています。背景としては欧州銀行規制強化が考えられます。銀行規制強化は銀行においてバランスシートの健全化が計られるなかで銀行の海外資産の圧縮と自国内資産および欧州域内資産へのシフトを起こします。ユーロ圏の景気が底打ちをしたとはいえ、回復は緩慢であり、企業の資金需要はしばらく弱いと推測されます。銀行が自国の国債や欧州域内の国債を満期保有で保有する場合はリスクウェイトがゼロですので欧州域内の国債に向かっていると思われます。これらの運用資金は金利のある資金ですのでインカム収入を求めています。欧州の高債務国の国債の利回りがピークから大幅に低下したとはいえ、依然相対的に高い金利水準であると思われることから、インカム収入を求める銀行の資金が欧州域内の国債の購入をしていると推測されます。 その結果、昨年末に8.419%であったギリシャの10年国債利回りは3月6日には6.650%、6.130%であったポルトガルの10年国債の利回りは3月7日には4.577%、3.513%であったアイルランドの10年国債利回りは3月5日に3.040%、4.151%であったスペインの10年国債利回りは3月5日に3.361%、4.125%であったイタリアの10年国債利回りは3月5日に3.377%までそれぞれ低下しています。ドイツの10年国債利回りは3月7日現在1.653%です。このように高債務国の10年国債利回りが低下したとはいえ、依然相対的に高い水準です。今後も欧州の銀行は銀行規制の影響からリスクウェイトが低い自国の国債や欧州域内の国債に資産を振り向ける動きが続くものと考えられます。高債務国の国債の利回り水準が一段と低下するに従い、相対的に金利水準が高いその他の欧州域内の国の国債も物色の対象となるとみています。今後、中欧諸国の国債が注目されるとみています。 3月7日のポーランドの10年国債利回りは4.279%、ハンガリーの10年国債利回りは5.81%、ルーマニアの10年国債利回りは5.306%と欧州域内でみても前述の国より、相対的に高い水準であり、インカム収入を求める資金が流入することが予想されます。20140310