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証券新報 1980号

平成26年3月15日発行米国の雇用情勢が着実に改善3月7日に米国労働省が発表した2月の雇用統計によると、失業率が前月比0.1ポイント上昇の6.7%、非農業部門雇用者数が同17万5千人の増加となった。失業率が4カ月ぶりに上昇した一方、非農業部門雇用者数の増加幅が事前の市場予想(15万人程度)を上回ったほか、1月分と昨年12月分が速報段階から上方修正されており、記録的な寒波の影響などがあったにもかかわらず、米国の雇用情勢が底堅く推移していることを裏付ける内容となった。今回の結果を受けて、米連邦準備理事会(FRB)が進めている量的緩和の段階的縮小を継続するとの観測が強まっており、3月18日から19日に開催される連邦公開市場委員会(FOMC)では、前回に続いて100億ドルの減額を実施する公算が大きいものと考えられている。米国ではこの冬、約70年ぶりの低温を記録する地点が出るなど記録的な寒波が襲来し、物流や生産活動、個人消費など広範囲に影響を及ぼしており、雇用情勢についても昨年11月までのペースから改善が鈍化、非農業部門雇用者数の増加幅が失業率の持続的な低下につながるとされる20万人を3カ月連続で下回っている。ただ、寒波の影響のほか、新興国の景気減速懸念などの影響があった中でも増加幅が着実に改善しており、寒波の影響が一巡する春以降は改善基調を強めるとの見方も出ている。FRBは量的緩和の縮小について、実施は経済情勢次第であり、場合によってはペースを緩めたり、中断することもあり得るとしている。今回の雇用統計を受けて、3会合連続で減額を実施する公算が大きいものと考えられているが、就任後初のFOMCを迎えるイエレンFRB新議長が金融政策の正常化に向けて今後、どのように手腕を発揮するかが注目されるものと思われる。2米国雇用統計(出所は米国労働省)