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証券新報 1977号

平成26年2月1日発行日銀が金融政策の現状維持を決定日本銀行は1月21日から22日に開催した金融政策決定会合で、金融政策の現状維持を決定した。一部に追加金融緩和を期待する向きがあったため、結果判明直後には金融市場で円高と株安が進行したものの、現状維持の背景に国内景気の下振れリスクが低下している点が挙げられることから落ち着きを取り戻し、その後は底堅い推移となっている。国内景気の下振れリスクが低下していると判断されるのは、国際通貨基金(IMF)が2014年の世界経済見通しを上方修正するなど先進国で景気の回復傾向が明確となってきたほか、新興国でも景気の底割れ懸念が後退しており、国内経済を巡る不確実性が和らいでいるとみられるためである。一部に追加金融緩和が期待されていたのは消費増税で見込まれる景気の落ち込みを追加緩和で下支えするとの観測があったためであるが、日銀は消費増税に対しては一定の抵抗力があると判断した模様である。現状維持の決定に至ったもう一つの背景としては、政策目標としている消費者物価指数が順調に上昇している点が挙げられるものと思われる。昨年4月の異次元緩和以降、景気や物価が日銀のシナリオ通りに動いており、現時点で追加緩和の必要はないとの判断につながったものと思われる。ただ、個人消費に加えて設備投資に回復の兆しが見えている一方、国内経済を巡る不確実性が完全に払しょくされたわけではなく、消費増税の影響には不透明な部分が大きいほか、賃上げが想定ほど進まなければ景気が腰折れするリスクが高まることとなる。現時点で追加金融緩和に慎重な姿勢を示している日銀であるが、景気の腰折れリスクが高まれば追加緩和に踏み切る可能性は残されており、2%の物価上昇に向けてどのような舵取りを見せるかが注目されるものと思われる。2全国消費者物価指数(生鮮食品を除く総合、単位は前年同月比:%、出所は総務省)