ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

q

証券新報 1975号

平成26年1月1日発行米国が量的緩和の縮小を開始へ米国の中央銀行であるFRB(連邦準備理事会)は昨年12月17日から18日に開催したFOMC(連邦公開市場委員会)で量的金融緩和策の規模をこの1月から縮小することを決定した。具体的には米国債とMBS(住宅ローン担保証券)の月間購入額をそれぞれ50億ドル減らして購入額の合計を月間750億ドルとするもので、リーマン・ショックに端を発した金融危機から続けてきた量的緩和策が出口に向けて動き出すこととなる。縮小に踏み切った背景には雇用情勢が着実に改善するなど米国景気が回復傾向をたどっているほか、財政問題を巡る不透明感が後退していることなどが挙げられるものと思われる。今回の決定を受けて金融市場ではドル高が進行し、ニューヨークダウが史上最高値を更新しており、米国の金融政策を巡る不透明感が後退したと受け止められた模様である。今後の金融政策についてFOMC後に会見したFRBのバーナンキ議長は、緩和縮小のペースは経済情勢次第であり、当面はゼロ金利政策と緩和姿勢を継続、場合によっては縮小ペースを遅くしたり、一時的に中断することもあり得ると表明した。雇用情勢などが着実に改善する一方、インフレ率が低水準にとどまっている点などに配慮したものと思われるが、同議長がこうした姿勢を明らかにしたことも金融市場に好感を持って受け止められたものと思われる。今回の決定により、米国で続いた異例の金融緩和策は出口に向かって動き出すこととなるが、証券購入額がゼロとなるのが年後半となる見込みで、金融政策が正常化するにはなお長い道のりが待っている。次期FRB議長に就任する予定であるイエレン氏の下、FRBがどのような舵取りを見せるかが注目されるものと思われる。2米国長期金利の推移(10年国債利回りで単位は%)1.41.61.82.02.22.42.62.83.03.220130102 20130227 20130423 20130617 20130809 20131003 20131129