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証券新報 1974号

5世界各国の国債の年初来パフォーマンス 国債インデックス(EFFASによる国債指数)のうちで残存1年超のすべての国債からなる各国の国債インデックスの年初から12月6日までのパフォーマンスは、全26指数中でギリシャ国債が30.01%でトップ、二番目がアイルランド国債の11.03%、三番目がスペイン国債の10.55%、四番目がハンガリー国債の8.58%、五番目がポルトガル国債の6.81%、六番目がイタリア国債の6.35%となっています。一方、ドイツ国債はマイナス1.83%です。全26指数中最もパフォーマンスが悪かったのはマイナス3.81%の英国国債で、二番目に悪かったのがデンマーク国債のマイナス3.31%、三番目に悪かったのが米国国債のマイナス2.75%となっています。今年5月10日のバーナンキ発言により、各国の国債市場では過去最低水準の長期金利が反転しました。結果、大半の国では国債のパフォーマンスは奮いませんでした。一方で、前述のようにPIIGSと言われる国々の国債はプラスのリターンでパフォーマンスの上位を独占しています。 多くの国々では、今後の景気回復により金利上昇が予想されますが、PIIGSの国々では、景気回復による税収増加が財政収支改善へ導き、現在高止まりしている長期金利の一段の低下が予想されます。来年はPIIGSの国々の国債は今年以上のパフォーマンスが期待されるでしょう。 上記の国債インデックスを円からの投資でみた場合、最もパフォーマンスが良かったのが、ギリシャ国債の60.23%、二番目がアイルランド国債の36.84%、三番目がスペイン国債の36.25%、四番目がポルトガル国債の31.63%、五番目がイタリア国債の31.07%となっています。いずれも通貨はユーロであり、欧州の金融危機終焉に向かう兆候がユーロを強くしており、パフォーマンスのトップを独占する結果となっています。来年前半はユーロ高による景気への悪影響を懸念する声があると思われますが、徐々に欧州の景気の力強さがユーロ高を吸収し、EU各国からのユーロ高による景気への悪影響を懸念する声も減少するものと思われます。12月は欧州のユニバーサルバンクの決算月であり、ユーロ安不安による銀行資産の減価を招く恐れがあるユーロ高懸念発言はEU首脳から出る可能性は低いもののユニバーサルバンクの決算終了以降はユーロ高懸念発言が出る可能性も考えられます。もし、そのような発言によりユーロが下落するような局面があればイタリア国債の買いのチャンスと見ています。 EFFAS : The European Federation of Financial Analysts Societies      欧州証券アナリスト協会連合会20131209