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証券新報 1972号

5欧州債務危機終了に向けて今年8月14日に発表されたユーロ圏の第二四半期のGDPが2011年第三四半期以来のプラス成長となりました。続いて9月2日に発表された8月のユーロ圏PMI製造業指数の改定値も2011年6月以来の高水準となるなどユーロ圏の景気改善傾向が顕著になり、ユーロドルが10月25日には1.3802ドルと2012年以降の高値をつけました。10月31日に発表された9月のユーロ圏インフレ率が2009年11月以来の低水準となったことをきっかけにECBの利下げ観測が台頭したため、11月1日にはユーロドルは1.3500ドル割れへとポジション調整の動きがみられました。ほとんどのマーケット参加者はECBの政策金利引き下げは12月のECB理事会で行われ、11月7日のECB理事会では政策金利の引き下げはないものと予想していました。予想外の11月7日のECBの政策金利の引き下げでしたが、マーケットはすでに10月31日発表のユーロ圏インフレ率でポジション調整が行われていたためマーケットインパクトは軽微に終っています。ユーロ圏の景気は改善傾向ですが、未だ、南欧の経済は力強くなくユーロ高を容認するには時期尚早と思われます。ユーロのダウンサイドリスクは極めて低いと予想されますが、今しばらくはユーロの独歩高には水を差すような政策や発言が出るものと思われます。その後は、ユーロの独歩高も十分あり得ると思われます。欧州は景気改善傾向にあり欧州債務危機が終了に向かっています。今年10月7日に議会に提出されたギリシャの2014年予算案では今年のプライマリーバランス(基礎的財政収支)の黒字確保が明らかになりました。欧州債務危機時に10年国債利回りが35%を超えていたギリシャ国債は利回り低下を続けており、11月7日には欧州債務危機後の最低水準となる7.966%を付けてきています。ギリシャの次に金融支援を受けたアイルランドは欧州債務危機時に10年国債利回りが14%を超えていましたが現在では3%半ばで安定的に推移しています。アイルランドの次に金融支援を受けたポルトガルは欧州債務危機時に10年国債利回りが15%を超えていましたが現在は6%割れの水準で推移しています。スペインは欧州債務危機時に10年国債利回りは7%を超えていましたが現在は4%前半で推移しています。スペイン経済は今年第3四半期にリセッション(景気後退)から予想よりも早く脱却しました。ただ、スペインの場合は不動産バブル崩壊による不況で回復には時間を要すると思われます。イタリアもスペイン同様に欧州債務危機時に10年国債利回りが7%を超えていましたが現在は4%前半で推移しています。イタリアはスペインとは異なり欧州の景気循環からくる不況であるため、欧州の景気回復は直接的にイタリア経済の回復をもたらすと思われます。これまでは、ギリシャ国債・ポルトガル国債・アイルランド国債・スペイン国債などのよく売り叩かれた国の国債のリターンが高かったが、欧州債務危機が終了後には、イタリア国債のドイツ国債のスプレッド縮小が本格的に始まることが予想され、イタリア国債の高いリターンが期待できると予想します。ドイツ10年国債利回りは11月12日現在1.789%です。20131113