ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

q

証券新報 1972号

平成25年11月15日発行米国で量的緩和の早期縮小論が再浮上11月7日に発表された米国7-9月期のGDP(国内総生産)速報値や翌8日に発表された10月の米国雇用統計がいずれも事前の市場予想を上回る内容だったことなどから量的緩和の早期縮小論が再浮上、金融政策を巡る不透明感が強まっている。米国の金融政策を巡っては従来、緩やかながらも景気が回復傾向を示していたことなどから今年9月にも量的緩和の縮小に踏み切るとの予想もあったが、債務上限の引き上げなどを巡る交渉が難航したことや9月の雇用統計が市場予想を下回る結果となったことなどを受けて、量的緩和の縮小が当面は困難になったとの見方が広がっていた。今回、上記2つの重要経済指標が予想を上回る結果となったため、こうした見方が変化、金融市場では量的緩和縮小の開始時期を巡って思惑が交錯する状況となっている。米国商務省が発表した7-9月期のGDP速報値は住宅投資や企業の在庫投資などがけん引役となり、年率換算で前期比2.8%の伸びとなった。また、米国労働省が発表した10月の雇用統計は失業率が前月比0.1ポイント上昇の7.3%となった一方、非農業部門雇用者数の増加が同20万4千人となり、失業率の安定的な改善につながるとされる20万人を上回ったほか、8月と9月の増加幅がそれぞれ上方修正され、懸念されていた政府機関の一部閉鎖の影響は限定的なものとなった。ただ、11月以降もこうした傾向を持続できるかが不透明なほか、年明けには財政問題を巡る与野党の対立が再燃する懸念などがあり、金融市場で思惑が交錯する状況につながっている。今後は11月の雇用統計のほか、難しい判断を迫られる中でFRB(米国連邦準備理事会)がどのような舵取りを見せるかが注目されるものと思われる。2米国雇用統計(データの出所は米国労働省)-1,000-80 0-60 0-40 0-20 00200400600200801 200901 201001 201101 201201 2013014567891011非農業部門雇用者数の増減(左目盛り:千人) 失業率(右目盛り:%)