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5ドイツ総選挙終了と欧州債券市場9月22日のドイツ総選挙でメルケル首相の3期目続投が確定したものの、与党で過半数を確保することができず、最大野党の社会民主党との大連立に向けて交渉が行われています。ドイツ下院の招集期限が10月22日であり、組閣に向けて与野党の駆け引きが続いています。新政権も高債務国に対する政策についてはほとんど変わらないと思われます。10月2日のイタリアレッタ政権の信任投票ではレッタ政権が信任獲得となり、新たな総選挙が実施されるリスクが回避されました。これから年末にかけ、欧州各国で来年度予算が協議されますが、欧州景気も若干の回復期待も芽生えてきています。欧州各国の有権者のマインドも回復してきていると思われ、重債務国政府が緊縮財政予算作成の際に野党による妨害も緩和するものと思われます。10月7日に議会へ提出されたギリシャの2014年予算案によりますと、今年のGDPはマイナス4%の6年連続のマイナス成長となりますが、来年は0.6%のプラス成長が見込まれています。また、今年のプライマリー・バランス(基礎的財政収支)で3億4,000万ユーロの黒字を確保する見通しとなっています。ユーロ圏および国際通貨基金から金融支援プログラムのよるギリシャのプライマリー・バランス黒字化は1年前倒しでの目標達成となっています。来年は28億ユーロの黒字となり、対GDP比で1.6%となる見通しです。とりあえず、ドイツの組閣が決まり、新政権の政策が決まるまでは投資家の様子見のなか、高債務国の債券市場では本格的な買いではなくショート筋の買戻しが優勢のマーケットとなるでしょう。また、年末は欧州のユニバーサルバンクの決算(12月決算)でもあり、リスク資産の圧縮は続くものと思われます。本格的に投資が始まるのは年明けであり、例年通り需給環境の悪い10月と11月は高債務国の債券市場は仕込み場と思います。10月7日現在、ギリシャ10年国債の利回りは9.224%、ポルトガル10年国債の利回りは6.379%、アイルランド10年国債利回りは3.727%、スペイン10年国債利回りは4.210%、イタリア10年国債利回り4.294%であるのに対し、ドイツ10年国債利回りは1.803%であり、ドイツ国債との十分な利回り格差が依然存在します。スペイン10年国債利回りとイタリア10年国債利回りの逆転が続いています。スペインは不動産バブルの崩壊による不況であり、財政収支改善までには長い時間を要しますが、イタリアの場合は一般的な不況による財政赤字であり、景気さえ回復すれば比較的短時間で財政収支の改善に向かうことが期待されます。イタリアの場合はプライマリー・バランスが黒字を続けています。欧州の景気回復によって、マーケットも同様に、比較的短期間でイタリア国債の利回り低下が期待されます。また、ユーロについては1.35ドルの水準を懸念する欧州経済界も欧州景気の回復により通貨高に寛容になることは想像できます。20131008